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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

Public Relation。果たしてコレを「広報」と翻訳するのは正しい表現?

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「広報」という場合、一般的にはメディアを中心に必要な情報を伝える媒介をする役目みたいな理解がされているのではないかと思います。もちろん伝える機能は大事だけれど、売り込む下地を仕込む機能を持っているのが本来のPublic Relationship、つまりPRの仕事のような気がしています。つまり日本語で言う「広報」と英語で言う「Public Relation」の一部なのかもしれないということです。

あ、一般的なマーケティング理論から逸脱する部分があるかもしれません。いろんなご意見があるとは思いつつ、ここでは最近考えていることを書きます。


マーケティングの機能それぞれが持つ機能と役割

宣伝、Web、DM(お手紙やeメールなど)、コールセンターの一部、イベント、そして広報などなど。それぞれがある一つの活動の中で特化した機能を持ち、果たすべき役割があります。直接何かを伝える相手に接する場を持つイベントについては、その前後の活動の集約であるという認識から「(仮称)イベント=マーケティングのゼネコン理論」を持論として持っていますが、そもそもその場が成立するためのマーケットや社会全体のコンセンサスを取る、雰囲気的に「来てる感」や「メジャー感」を持たせる・・・そういった仕込みの部分で企業の中で広報というか、Public Relationが本来果たすべき役割は非常に大きいと感じています。


宣伝と混同される広報、宣伝と併用される広報

「広報宣伝」とまとめて部門が成立している場合、その多くが宣伝は広告スペースを買う役割、広報はプレスリリースを流したり記者とのインタビューを仕込む役割といった理解がされていると思います。個人的にはマーケティングは企業全体をプロデュースする役割だと思っているのですが、広報が果たすべき役割はその完全な裏方としてマーケットなり社会なりの地ならしをする役割だと思っています。広い意味でロビー活動的なモノまで含まれるわけで、一般的な理解からすると広報の業務範囲を逸脱することになるのではないかと思います。しかしながら、広報ではなく英語でPublic Relationと表記して、それをそのまま理解しようとすると全く違う役割が浮かんでくる気がします。Publicですよ。Media Relationじゃないはずです。


Publicが意味するもの

ちょっと乱暴ですが、企業なり何なりその組織自体をPrivateと定義すると、それ以外の全てがPublicになります。その中で自分の組織があるべき姿を経営サイドと共有し、己にとってのStake Holderを定義し、必要な情報をそれぞれに提供し、マーケットや社会における組織の立場や役割を伝えるというのがPublic Relation=PRの役割じゃないかと思います。Stake HolderとのコミュニケーションといってもIRは違うものだよという意見もありますが、情報の内容が異なるだけで、目的は全く同じですよね。

因みに宣伝やイベントはもっと即物的で、ある意味力任せに広告を打ったりイベントを仕込んで何かしら意見や印象の誘導を強引に行うものですが、Public Relationはもっと深く静かに、でも確実に意見や立場の理解を浸透させる役割があるんじゃないかと思います。その対象としてもちろん媒体の記者は重要な役割を果たしますが、それ以外に業界や社会の中での発言力を持った人、大学などの教育関係者、そして必要に応じては行政や政策に関連する人。それらの人にいかに代弁させるか、これがPRの本質的な役割で、接する相手をマスコミだけに限定したり、そもそもそれ以外にアプローチすることすら考えないとしたら全く持って不十分なのではないかという気がします。


そもそも経営の立場の人がPublic Relationという活動を本当に理解しているのかが問題?

もちろん企業なり組織なりの立ち位置や目的により事情は異なると思いますが、Public Relationが果たすべき役割をきちんと位置づけている経営者もしくは役員の方がどれ位居るのか、ちょっと興味があります。広義のマーケティングはそれらの活動全体を指し、その中での役割としてそれこそ”広報”なり宣伝なりWebなりと言った戦術があるのですが、表面的、あるいは即物的な役割だけを持たせてしまい、それを全体で統括する役割の重要性があまりきちんと理解されていない気が・・・する今日この頃です。でも、ここでふと気がつきました。

これってCMO (Chief Marketing Officer) の役割じゃないのか?

ちょっと深い議論になりそうな予感がしてきました。

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