THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

前回のエントリーでCEATECのことを書きましたが、今回は東京モーターショウ。定期開催イベントの規模としては国内最大級ですが裏の仕掛けも最大級です。


自動車業界のガチンコイベント
世界中の有名な自動車のイベントで言うとニューヨーク、デトロイト、ジュネーブ、フランクフルトなどが良く知られていますよね。中国でも北京や上海などがどんどん大きくなってきています。これらのイベント、一般のお客さま対象の部分はもちろん大きなウェイトを占めますが、実はメディアや政府関係者、自動車産業関係者、そして各社にとっての上得意様向けの仕掛け・仕込みがとても大きな意味を持っています。これら全てを包含した一大マーケティング・イベントがモーターショウです。


プレス公開日と一般公開日とで出展内容を変えるのもアリ
今でもそうなのか良く知りませんが、かつてのデトロイトやニューヨークのモーターショウでは造作や演出を一晩で全部変えてしまう位のことを平気でやっていたことがあります。出展する車両などは報道もされますから基本的には変えませんが、車両の並び方どころか、壁面や照明など全部総入れ替え。良いかどうか、これが無駄なのかは全然別のレベルで判断されるので、結果的にプレスにとってアピールする見せ方、一般来場者に対する見せ方を追求すると造作や演出を全部変えるところまで行ってしまったようです。以前ある時期に籍を置いた米国のイベント・エージェンシーは自動車関係のショウでは異常に高いシェアを持っていたのですが、裏方は死ぬ思いをしていたのを横目で知らんフリしつつ自分の担当しているのがIT系で本当に良かったと思ってました。


プレス公開日には触れるけど一般公開日にはロープを張られて近づけないとういうのもアリ
超高級欧州車によくありますが、プレス公開日には(当然ですが)ホボ全ての車に直接触れることが出来ます。でも一般公開日に普通の人が買える筈も無い一台数千万円する超高額車にベタベタ触られても困ります。結果として一般公開日にはロープを張られて5メートル以内には近づけないのはよくある話。でもこれらの車を買う人も居るわけで、そういった「超上得意様」は担当営業に案内されて横立ちのコンパニオンに挨拶しながらドアを開けて中に乗り込み、あるいはブースの2階にあるVIPラウンジ(大抵プレス公開日には入れますが)にご案内されて自分のオーダーの仕様の確認をしつつ納車のご相談をしていたりします。マーケティングの鉄則の一つですが、お得意様と顧客ではない方を明確に区別しての対応。良い悪いではなく、また四の五の言う立場と財力も無いので指をくわえて見ているしかないのですが、少なくとも車の横に立ててあるプライスリストを見て自分の家より高い事に関心している私は間違いなく、その車のオーナーにはなれないはずです。


演出の映像機材だけでお幾ら万円?
仕事柄、機材をざっと眺めると大体のコストが判ります。誤差はもちろんありますが、中にはどう考えても機材と映像だけで億に近いコストがかかっているモノも目にします。別にお金がかかっているから凄い訳ではなく、お金を掛けたからエライ訳ではないのですが、出来上がったモノが凄いからこそこれはお金かけてるよなーと思うことも良く有ります。
因みに以前ある映像と演出の専門家と話しをしたことがあり、いくつかの企画のデモ映像を見せてもらったことがあるのですが、最初のアイデアを形にしてゆくプロセスと実際の仕上がりをみて「こんなアプローチがあるんだ」と目から鱗が落ちる心境でした。


ところでIT系のイベントでの展示との一番の違いは?
自動車の場合、極言すると地べたと壁と受付があれば後は車を並べるだけで成立します。それに比較してIT系では商材が小さく、またきちんと覗き込まないと判らない、あるいは説明を受けないと解らないものが多いことから、地べた+壁面+展示台(テーブル等)が必要になります。展示台を作ることにより動線が非常に細かくなったりしますし、またそれぞれの箇所での滞留時間も長くなることから、必要以上に混みあわないようにブース全体でお客さまを逃がす場所(溜まれる場所)を考慮しつつ、それでも見せたいものがきちんと見られる展示のレイアウトを作ることになります。パッケージブースでも展示台と壁面の関係をきちんと考えないと、結果的にお客さまがチラッと見るだけで中に踏み込めない結果になります。
それに「対して車は楽でいいよなー。とりあえず置けばいいんだもんなー」というのは関係者の間でよく言う話です。でも車関係の展示、実情は決してそんな状況ではないのは理解しています。逆にIT系でも非常にゆったりとした造作をすることもあります。でも大抵予算効率やらてんこ盛りの出展物のお陰でヤタラとせせこましく詰め込むことになります。

もうすこしはカッコよくしたいんだけどな。いいよなー。モーターショウは。

モーターショウ関係者の方の苦労は百も承知で、でも毎回素直に思う今日この頃。
やはり、隣の芝は青く見えるものです。

bibendum_iwa

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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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