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ITエンジニアに必要な英語力~メルマガ連載記事の転載 (2013/05/27 配信分)

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この記事は、メルマガ「デジタル・クリエイターズ」に月1回連載中の「データ・デザインの地平」からの転載です。

連載 「データ・デザインの地平」第30回 ITエンジニアに必要な英語力

輸出産業に英語は不可欠

教育のグローバル化をめざし、大学での英語教育や小学生の早期英語教育が叫ばれています。
今度の英語ブームは下火になることはないようで、海外営業やサポートデスクや多国籍プロジェクトのリーダーのような英語力が必須の職種だけでなく、在宅で終日コードを書いている末端のプログラマにも英語力がもとめられることになりそうです。

海外の技術者と競って口を糊したり、コラボするために、「英語を習得しなければならない」と思うと、どうにも荷が重くて後ろ向きになってしまうかもしれません。
が、自分の開発物を海外ユーザーに使ってもらうために「英語で伝えたい」と思えば、積極的になれるのではないでしょうか。

いまや少子化のために、国内をターゲットにしたのではユーザー層の拡大は望めそうにもありません。大きな市場がある海外へ発信するために、相手の国の言葉を知るという姿勢でよいのではないでしょうか。

古くから、航空機や自動車、橋梁やビルやプラント、製造ライン、家電、通信設備のような形あるモノを扱う重厚長大型の業界では、技術供与やOEM生産、現地での据付試運転渡しなどのために、外国語が必要でした。
その昔、筆者は重厚長大系企業でサービスマニュアルを制作していましたが、輸出先の国のサービスエンジニアに対して、日本の製品を取り扱うあなた方が日本語を習得すべきだ、などとお願いすることはできませんから、ドキュメントは英語でした。また、経営陣は、当時から積極的に英会話を学んでいました。海外に技術を売り込むには、自分たちの方から歩み寄るしかないからです。

それはIT業界でも同じではないでしょうか。

自分の開発物を海外ユーザーに使ってほしいなら、技術を宣伝したいなら、ユーザー側の使う言語を知る必要があります。アプリであれば、日本語を分からないユーザーにも使ってもらえるとは思いますが、英語版も作った方が、親切ではないでしょうか。

情報収集のための英語、発信するための英語

資源小国と言われる我が国では、ヒトの頭脳こそ資源です。ITはその最たるものであり、考えだしたもの、創りだしたものを、海外に問うべきです。我が国の技術やアプリやコンテンツには、輸出できるものが多々あるはずです。

とかく英語というと、我々は、海外の情報を仕入れたり、海外の技術者と交流するために必要、と考えてしまいます。技術文書の翻訳を待たずに読んだり、参加者の多い英語のフォーラムで質問するための英語を真っ先に思い浮かべます。

しかしながら、多くの団体や企業が仕様書の翻訳を先延ばしにする姿勢を見せたとしても、英語の得意な技術者が翻訳して公開したり、電子出版することもあるでしょうし、国内の技術コミュニティに参加して日本語で質問することもできます。

理解のための英語は、もちろんできたほうが、技術力強化や人脈作りにつながるでしょうが、それよりも、まずは発信するための英語から始めた方がいいような気がします。

海外向けアプリのメリット、デメリット

海外に発信すれば、なんといっても、ユーザー数が圧倒的に多いというメリットがあります。
たとえば筆者の Windows Phone 7 アプリ「Sensors Set」は、61か国でダウンロードされており、英語版のダウンロード数は、日本語版の10倍です。見知らぬ国のユーザーからの評価やコメントは励みになります。

一方で、もちろん、デメリットもあります。
前述のWindows Phone 7 アプリは、いまなおコンスタントにダウンロードされていますが、日本では、次バージョンの Windows Phone の端末はまだ発売されていません。海外では、新しい端末を持つユーザーが相当数います。
端末もOSも世界同時発売とは限らないので、開発者とユーザーの環境が異なることは十分に考えられます。そのため、英語版を開発する場合は、日本語版よりも動作確認や要件の確認に手間がかかります。

英語版のアプリやコンテンツ発信に必要なスキル

英語版のアプリやコンテンツを開発して公開するだけならば、辞書を引いたり、表現を検討する時間があります。ネイティブの速度でビジネス上の丁々発止のやりとりをできるほどのスキルは必要ありません。次の3つができれば十分です。

(1) コード内の正確な名前付け

コード内の変数名、クラス名、タグ名、フィールド名、(UIデザインも含むなら)レイヤー名などを、適切な英語にする必要があります。単語が分からなければ、適当に付けるのではなく、調べる手間を惜しまない姿勢が必要です。

データベースを使う場合は、タグ名やフィールド名も正確に設定する必要があります。誤ったスペルのデータベースに膨大なデータが蓄積されることのないように二重三重の校正が必要です。

(2) 概要や操作手順のテキスト

英語版のみを開発するなら、概要や操作手順のテキストは最初から英語で書いた方が、意図が伝わりやすいものになると思われます。単語の選択に不安があるときは、手間を惜しまず英英辞典で確認します。
Microsoft Word を使って、スペルと最低限の文法のチェックをすると、ケアレスミスを防げます。
日本語版と英語版の両方を開発する場合は、英語版を先に開発してから、日本語に訳すほうが、手っ取り早いように思います。

こういった説明のための文章は、時制に悩まず、すべて現在形で書いたのでも通じます。関係代名詞や接続詞をできるだけ避けて、主語と述語の組み合わせによる短い一文にすると、文法に悩むこともありません。箇条書きも有効です。

(3) プレゼンや動画のためのナレーション

アプリなどの成果物を宣伝するための動画制作では、メニュー名などをそのまま読みあげるだけでもよいので、柔軟な英語力は必要ありません。
先に操作画面をキャプチャしておき、シナリオを読み上げてナレーションを録音し、動画作成ソフトで合成する方法もあります。

開発力がありながら、英語は食わず嫌いという人もいると思います。英語に抵抗感はなくても、目標を高く掲げすぎて(リアルタイムでチャットができるレベルでなければならないなど)二の足を踏んでいる人もいると思います。
便利なアプリや優れたコンテンツを海外ユーザーに知らせないのはもったいないことです。深刻に考えるのではなく、ブロークンであっても、まずは気軽に発信してみればよいのではないでしょうか。

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