オルタナティブ・ブログ > Alternative 笑門来福 >

ソフトウェアは私たちに幸福をもたらすことができるのか

ジャストシステムは世界のジャストになれるか?

»

 前回のエントリで「私の目を引いたのはジャストシステム」と書きました。なぜ、ジャストシステムが最も目を引いたのか?それはジャストシステムがゴールドスポンサーだったからではなく、その中身にあります。

 今回のXBRL国際大会で、ジャストシステムは「xfy」を出展していますが、私としては今年3月にカナダのBlast Radius社から買収(買収金額約7億円)したXMeteLのチームとのコラボレーションが、どのくらいうまくいっているのかに関心がありました。というのも、日本のソフトウェアを世界で役立てるために海外企業とのコラボレーションは避けて通れないからです。しかし、これまでビジネスソフトウェア業界ではあまりうまくいった例がなく、インフォテリアの国際市場戦略(日経産業12月8日1面参照)を考える上でも、海外企業のアクイジション、コラボレーションとして大変興味があったからです。

Xfydemo  大会初日のState of the Art Demonstrationでは、元XMetaL、現ジャストシステムカナダのDiane Mueller当日にアナウンスした「xfy XBRL Solution」をジャストシステムの代表としてデモしました(写真)。デモは同社を含め5社で行われましたが、残りの4つがExcelをフロントに使ったものであるのに対して、ジャストシステムだけは唯一Excelを使わないデモで、その技術力をアピールしていました。Dianeのジャストシステムのメンバーとして自信に満ちた「xfy」のデモからも、XMetaLとのコラボレーションがうまくいっていることが感じられました。ちなみにDianeは、今回の大会のco-Chairであり、XBRL-USの運営委員でもあったXBRL界(?)においては有名な女史です。ブレークアウトセッションでも、ジャストシステムとしてFormatting Linkbaseを提案するセッションを受け持つなど、大会での存在感は単に製品のアピールにとどまらない充実した内容でした。

 XMetaL組の活躍だけではなく、日本側からも浮川社長と初子専務も揃って参加する力の入れよう。浮川社長は、「いやあ、XMetaLの連中とも喧々諤々やりあって、ここまで来ましたよ。」と、いつもの満面の笑み。展示コーナーでも、入り口に陣取って存在感がありました(写真)。

 最近国内で「xfy」の話をすると、一太郎のことしかご存知ない方は「ジャストシステムってそんなことやってたんだ」と冷たく反応されることがありますが、ところがどっこい、「xfy」はジャストシステムを大きく変革させ成長させる要素を秘めていると思います。まず、技術的には、必要性は理解していてもあまり多くの会社が手をつけなかったXMLの複合文書をネイティブ処理させるという大きな挑戦に取り組んでいることです。IBM(日本ではなくワールドワイド)がCTO Innovation Awardを送ったというのもよくわかります。しかしながら、技術的に優れていることと、ビジネス的に成功することの間には大きなギャップがありますから、私は「問題はどうビジネス結びつけるかだ」と常々発言してきました。実際、「複合文書」と言っても直接的にソリューションに結びつくわけではなく、ビジネスとしてどこをブレークスルーにしていくのか興味津々だったわけです。そして今回の大会を見るに、XBRLという今後全世界的に普及するであろう財務データのサプライチェーンにおいて、XMetaLが持っていた2,500社の顧客ベースと営業力を基盤に「xfy」がビジネス的にも良いポジションを取れる可能性があると感じました。

 ソフトウェア業界は、ともすると国内だけとか国産だけというクローズドな話になってしまうことが多いなか、海外ともコラボレーションしながら世界市場にチャレンジするという姿勢、そして以前に一太郎とコンセプトベースでうまくいかなかったという経験も持ちながら諦めずに再チャレンジする姿勢、大いに共感します。日本語処理が強みということが逆縛りになって苦境に立たされていたジャストシステムが、いよいよ世界に羽ばたくかもしれないと、大いに期待感を抱いた訪米でした。 

Comment(1)