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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

齢30も超えたら、どんなビジネスであれ、お金の知識は必須だという話

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■アフリカ人と部屋の広さを語り合う

あなたがひょんなことからアフリカの野性味溢れる村に住む住人とメルトモ(...ここはスルーしてくださいませ。)になり、お互いの住環境について知り合おう、みたいな話になったことを想像してください。

この時、彼に『僕はワンルームマンションに一人暮らしさ。ベッドとパソコン机を置くといっぱいなんだよね。』と言ってもなかなか通じてはくれないでしょう。

『ワンルーム!こっちも部屋は1つだよ!そこに家族24人で住んでるよ。そこに1人で住むとは、さすが日本人は金持ちね!』

と言われかねません。

そこであなたは考えます。広さを客観的な指標で伝える必要があると。

『ごめんなさい。こっちで言うワンルームというのはとても狭いんです。縦10m、横4mの長方形の部屋です。』

こう説明するとどうか。

『めーとる?わからないね。こちらでは広さの表現は、サラマンダーオオトカゲの皮で表すね。うちの広さはサラマンダーオオトカゲの皮800枚分くらいだよ。』

(......サラマンダーオオトカゲって体長何センチだ??)

えーと、アフリカ出身の方で気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ありません。そんな地域があるかどうかは知りませんし、そんなトカゲはたぶんいないと思います。

これは一つの比喩でして、つまり何が言いたいかと言うと、住む世界の違う二人が何か共通の話題について話そうとするのには、共通の度量衡が必要だと言うことです。

実はビジネスにおいてもそうです。

ビジネス上で起きる様々な事象を説明するのにはどうしてもお金という尺度が必要で、もう少し言えば、単にそのものの価値を表すのではなく現象や態様を表現しようとする際には会計知識というのが欠かせません。

 

■よくある原価の認識不足

似た話でちょっと違う話をします。

あなたは、会社からの帰りがけ同僚とばったり出会い、居酒屋で一杯ひっかけて帰ろうかという話になったとします。

居酒屋に入り、メニューを開き、同僚はこういいます。

『ピザ600円?あり得ないよねー。こんなの小麦粉と少しの肉と野菜と油と、、、スーパーで買ってきたらどう考えても原価100円以下でしょう。となると利益率は(600円-100円)/600円で83%!ぼったくりだよなー!!』

まあ初めて飲もうという時にこんなことをいきなり言う人も少ないと思いますが、問題はこの発言が食事の席ですべきでない無粋な話題であるというだけでなく、間違っているということです。

こういう話をする人というのはかなりビジネスを測る度量衡がずれていますので、今後どのような話をしてもピントが合うことはありません。

もしあなたが彼と今後会社の事業戦略について上司に相談しようと考えるのであれば、パートナーを見直した方がいいですね。

私がビジネスマンたるものお金の勉強をしておいた方がいい、と思うのは、実はこういう時にピントのあった話ができるためです。

自分の給料の額は高いのか安いのか、担当している商品が売れないのは営業が悪いのかモノが悪いのか、会社は今上向いているのか衰退していっているのか、、、

齢30も超えたら、そういった事業や経営に関わることを話題にする上で必要な、基礎的なお金の知識というのを身につけるべきです。

つまりビジネス上で起きているさまざまな事象についていろいろな人と話すための共通の度量衡を知っておいた方がよい、という話であり、決して株式投資や為替の勉強をすべしとか、財務諸表を読めるようになるべしとか言っているのではありません。

逆にそこを抑えていると、30代、40代、50代、60代のいかなるレベルのできるビジネスマンと話をしたとしても大きくはずすことはありません。経験により知識の多寡はあったとしても度量衡が合っているので話が噛み合うのです。

 

■度量衡としてのお金の知識を教えてくれる本

とはいえ、なかなかこういう勉強を体系的にできる機会というのはありません。

簿記のテキストなど読み始めれば2週間で飽きてしまうと思います。私も簿記は学生時代相当やりましたが、あれは、何世紀もの間研究されてきた帳簿の付け方の方法論であって、それで具体的に何が嬉しくなるのかよくわからないからつまらないのです。

さらにあれは方法論ですから少なくとも二級レベルまでは完全にやりきって、簿記一巡を白い紙に書いて説明できるくらいにならないと、ほとんど意味はありません。


そこで一冊の本をご紹介します。

「江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本」

江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本
江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本

この本は、この誠ブログで知り合った公認会計士眞山 徳人氏が出したビジネス書で、会計の知識を、江戸時代の呉服屋を舞台にドラマ仕立てで説明しています。

実はこの説明手法が秀逸で、主人公の勘助は、丁稚から番頭に成長していく過程で様々な失敗を犯し苦難に遭遇しますが、その都度会計の仙人と呼ばれる人に、その現象を会計的に解説してもらえます。

私が冒頭でやったような変な比喩は一切ないです。

比喩は物事を短時間でざっと知ろうという時には有効ではありますが、実は根幹部分をしっかりと理解できるかと言うと相当怪しく、むしろ誤解も与えてしまうことが多いです。比喩で理解した内容は、他人に対して、同じ比喩を使ってしか説明できないというのもありますね。

その点眞山氏の説明手法は、簡単なケーススタディをいくつも提示し積み上げていくことで徐々に読者の理解を深めていきます。

それを実現するために、複雑化・専門化が極度に進んでしまった現代の企業ではなく、江戸時代の呉服屋を舞台に選んだのだと思います。製造、仕入れ、原価計算、値付け、商品開発、販売、営業とすべて必要な業種を選んでいるところがよく練られています。

舞台は江戸時代ではありますが、さらにそこに当時はなかった現代の複式簿記の知恵を導入するために、SF的手法を採ります。まあ悪口を言えばマンガの「JIN-仁」的ではありますが、あの手法で具体性をもって会計を説明しようというアイディアがいいです。

これを読んだからと言って、すぐに私が言うような『基礎的なお金の知識』が身につくかどうかわかりませんが、身の周りのいろんなシチュエーションは、お金という度量衡によって定量的に把握できることを知るのはとてもよいことだと思います。


 

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