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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

ニッチはわからないもの

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一昨年くらいからでしょうか。
この誠ブログで「起業するって言ってもベンチャーだけじゃないよ」「ニッチ分野の事業で固く始めるのもアリだよ」とか言い始めまして、その後そんな私に興味を持ってもらった10人くらいの若者と会ったでしょうかね。
ただ、私が会社を作るきっかけはなんだったのかとか、資金繰りのピンチを切り抜けた話とか、昔はアダルトがおいしくて課金やセキュリティや負荷分散の勉強にもなったけど今は日本では事業的に無理とか、初期段階で社員を採用するときに注意すべきこととか、私の周りのベンチャー企業の社長には興味を持っていただけるのですが(失礼な!)、私の主張するこの「ニッチもいいよ」というのがなかなか分かってもらえません。
まあ、それもそのはずで
「はぁ、、ニッチですか、、、たとえばどんなのですか?」
と聞かれると、いつも私は決まってこう答えているからです。
「それはいろいろあると思うけど、わからないんだよ」
確かにこれだと、適当なこと言ってるように思えるでしょうね。
普通の人は、ニッチというと、寿司折りの中に入ってる金魚の醤油入れとか、新幹線の回数券を買ってバラで売るとか、そういうのを思い浮かべると思うのですが、私が言ってるのはそういう分かりやすいのじゃないのです。
ここでアクセス稼ぎのステマ入りますが、本日、シゴトビトの第2段の記事が前編後編ともにリリースされました。
こちらの記事に載っているエコノムーブジャパンの島社長がやっている事業は、海外専門の引越し業というニッチ事業です。
この事業は突然需要がどっと増えるものでもないですし、逆に急激に減るものでもないです。また、一般の人はそんな業種があることすら認知していないような業種です。
認知はされてないのですが、いざそういう必要性が出てきた際に「海外引越し」でググると、こちらの会社が、日通やヤマト運輸の次に表示される、という理想の状態になっています。
(1位だと本業そっちのけでSEO頑張りすぎだろうと変なイメージがつくかも知れませんし、10位だと1ページ目に表示されずに見積り依頼が来なくなってしまうでしょう。その意味で大手の次の3位~4位の位置というのはかなりいい位置だと思いますね。)
この会社さんの事業などは、ニーズも安定してるし、コンペティターは少なく新規参入も難しい、私が目指すべきと言っているポジションにかなり近いです。
こんなティピカルな事例があるというのに、では、なぜ私が冒頭の質問を受けたときに
「今君が目指すべきニッチ事業がわからない」
などと頼りないことを言うかというと、この島社長がそうだったように、よいニッチというのはある道を歩いているうちに偶然出会うものだからです。言ってみればセレンディピティのなせるわざです。
外からなんとなく眺めていて「ここに隙間あり!」などという事業は、大抵誰かも考えていて、やってみようとおもったけど出来なかった、というものばかりだと思います。(その意味で一番乗りなんてのは危険だとも私がよく言うことです。)
そうではなくて、どんな平凡な仕事でもやり続けていると、他の人が気づかない隙間というのがあります。そして、サラリーマンをしながらそれを見つけたとき、すでに事業化に必要なノウハウを持ってしまっていることが多いので、だから「ニッチは堅くてリスクが少なくて美味しい」と言うのです。
私は業務システムの開発を20年近くやっているので、これまでそういうビジネスをたくさん見てきました。
その中で、「へぇー、世の中にはこんな事業があるんだなぁ」と感動してしまうものがたくさんありましたし、お客さんから「今回は手が回らないのでここまでにしておくんですけど、よかったらプラムザさんでこの先やりませんか?」なんて言われたこともあります。
こういうのは、業界の内部にいる先方にとっては簡単そうに思えるのでしょうが、我々部外者からすると無茶苦茶大変なのでやりませんけどね。
ただつまり言いたいことは、大きくは爆発はしなくても、やりようによっては全国の仕事を薄く取れるかも知れない。そんな仕事って結構あるということす。
それがニッチです。
そして、私が考えるに、エコノムーブさんのような普通のニッチのさらに上を行くニッチというのがあります。
それは業務系(BtoB)のニッチというやつです。
こういうのはさらにわかりにくくて、私はそういうニッチを「ステルスニッチ」と名づけてます。
これもわかりやすく例に挙げられるものほど、それには当てはまらないのですが、たとえばオフィスに設置するレンタルの水槽であったり、少人数の企業をターゲットにした電話秘書代行のような事業です。
今、多くの人が「ああ、そういうの知ってる」と思ったかも知れませんが、もっと外部の人にはその存在を知ることができない、あるいは旨味がまったく理解できない事業というのがあるのです。
我々の業界で言うと、ガラケーやスマホを何百台も用意して実機テストだけを専門にやってたり、ECショップの在庫数を自動で同期していくシステムを提供したり、サーバーの死活監視をデータセンターやOSフリーでやったり、DBチューニングや負荷分散だけを専門でやっている会社もあります。(もちろん専門っぽく見せてるだけだったりしますが)
外部の人にとっては、「なんのニーズがあるのかわからん」というものでも、業界の人が聞くと、営業マンがサービスの説明をし終わる前に「それ!!絶対欲しい!!」っていうのがあります。
別にしたくない人が無理して起業する必要はないと思いますが、給料をもらいながら仕事をしつつこういうニッチ系のビジネスに目を見張っておいて、タイミングを見て会社を起こすのであれば、グッと敷居が下がるはずです。
そして、自身の性格や勤めている会社、業界によってはそのままサラリーマンを続けるよりもリスクが少ないこともある。
これが私の持論です。
偶然、駅の売店で目についたので6/15の東洋経済の「起業100のアイディア」という特集を読んでみましたが、こういうのは、ホント苦しいと思いますね。これ完全なインファイトじゃないですか。大振りしたところ一撃喰らってノックダウンされます。
本気でやるにはやるにしてもインファイトじゃなくて、アウトボクシング的な戦い方もあるはずです。
などと、今回ちょっとアブストラクトな話で終わっておきます。
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最後に、海外引越しを検討中であれば、エコノムーブジャパンさんはとてもいいようですよ。
小さい会社は社長の人柄がそのまま経営方針です。

 

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