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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

営業なんて死んでもイヤだという人が持つ7つの誤解

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現在のような酷い就職難の時代においては、就職活動中の多くの人がこんな風に考えているのではないでしょうか?

  • なるべく経営が安定した大企業に入りたい
  • 何か手に職をつけ専門職として働きたい

両方とも、安定した職についていたいという意図の表れで、それは至極健全な思考だと思いますが、本当はもっとも安定していてつぶしの効く職種というのが「営業職」というのをご存じでしょうか。

営業部は、モノやサービスを売っているすべての会社に存在している部署ですので、営業の力というのはそれ自体が高い市場価値を持っています。

しかし、そうは言っても、「営業なんてイヤだよ」「騙されるもんか」と思われる方も多いでしょう。

実際、私も会社を経営し始めてやむにやまれずやり始めるまでは、「死んでもやりたくない」と思っていましたクチですから、その気持ちはわかります。

ただ、今思うとその嫌悪感は、特に私の場合は、TVのドラマやニュースなどで植え付けられた営業職に対する強い偏見があったように思います。

今回、私が10年ほど営業をやってきまして、徐々に明らかになってきた自分の中の営業についての偏見・誤解を、一つ一つ解きほぐしてみたいと思います。

「営業」に強い拒絶反応を示す方々にも、共通点があるかも知れません。


[誤解その1]営業は価値のないモノを言葉巧みに高く売りつけてくるペテン師だ

TVドラマやワイドショーにもっとも多く登場する営業スタイルがこのペテン師系営業マンです。玄関先に座って、人のよいお年寄りに高額な羽布団やリンゴを売りつけるような。

しかし、まっとうな会社の営業は、価値のない物を価値のあるように見せかける営業などやりません。

むしろ、「こんな特徴のない商品じゃ売れねぇよ!」と、商品企画部にクレームを入れる営業部長の方が一般的でしょう。

嘘をついて不幸を売る営業や、それを容認している会社などというのは、早晩市場から排除されるでしょう。きわめてレアな営業と言っていいです。


[誤解その2]営業は、口八丁手八丁。ああ言えばこう言うやかましい人間で、そのような人種は信用できない

私の知るかぎり、デキる営業マンは割と口数の少ない人が多いです。

と言いますのも営業の基本は、自分が喋るのではなく、顧客に気持ちよく現在の不満を喋っていただくことだからです。不満を語るとき、人は心のガードが緩くなりますし、また現在の不満を喋っていただかないと、提案のしようがありません。

したがって営業の基本はヒアリングです。

よくTVドラマでは、自社の製品について立て板に水でベラベラ喋っている営業マンがいますが、そんな営業マンを前にすれば、顧客は「どうしたらこの人から離れられるだろうか?」ということで頭がいっぱいになってしまいます。


[誤解その3]営業は、人の都合など一切考えず、電話してきたり突然訪問してくる迷惑な人間だ。

確かに、私も仕事をしていると何度もしつこく「金を買わないか?」とか「人材は不足していないか?」等の電話がかかってきますが、そんな営業は「ド下手」と言わざるを得ません。

営業は一度嫌われたら二度と挽回はありません。

なので、むげに断られたにも関わらず、しつこく営業電話をかけるなどというのは営業手法としてあり得ません。

もちろん、オープナー(新規開拓)としての営業は、どうしても顧客の心の扉を「ピンポン」しなくてはならず、ある程度の迷惑をかけてしまうのですが、そこは必要最低限にとどめておく必要があります。

また、そのオープナーは、誰でもできる訳ではありません。特別の天性の才能が必要です。これを営業だと思っている人が多いですが、オープナーとクローザー(契約を取る人)は、別のことが多いです。(特に扱っている商品が専門性の高いものだと)

オープナーは、素質のない人が訓練してもなかなかできるようになるものではありませんが、クローザーは、実直に仕事ができる人間であれば少々口下手でもできます。


[誤解その4]営業は、部長から『テメー!契約取れねーのに、何で帰ってきたんだよ!』と椅子をけっ飛ばされる仕事だ。

そういう会社もあると聞きますが、営業は常に費用対効果を考えなければいけません。

釣りと一緒で、同じ場所、同じ仕掛け、同じ時間帯でいくら粘っても、釣れない条件が揃っていれば、釣れません。なので、釣れない時は、戦略を変える必要があるのです。

まあ、常に戦略ばかり練って、一向に外に出て行かない営業ではよくないですが、少なくとも体育会系でとにかく突撃していれば売れるというものでもありません。

営業部長から営業マンまで、しっかりPDCAを意識して、チームとして戦略的に、そして効率的かつ効果的に動く必要があると思います。


[誤解その5]営業は、顧客とのゴルフや飲みについて行っておべっかを言ったり個人的にキックバックを渡したり...

汚い営業ですね。こういう営業手法が若者に嫌われるのだと思います。

ただ、これとはっきり区別したいのが「人間性を売る」営業です。

製品の良し悪しうんぬんよりも、営業マンの人柄を買っていただければ、それほど強い絆はなく、それはもっとも追求すべき営業手法だと思います。

それに対して上記のような金銭的利益や快楽によってつながった顧客との関係というのは、脆いものです。

特定業者とそういう付き合いをしている発注担当者は、上層部に見つかれば処罰されることが多いですし、売り込む側の方も出入り禁止になります。

顧客が社長クラス、開業医、個人事業主のような場合は、出禁などは関係ないとは思いますが、次第に際限ない要求を受けるかも知れません。

会社の方針次第のところもありますが、私はリスクの高い営業方法だと思いますね。


[誤解その6]営業は、成功報酬で高額のサラリーを要求する人種だ

確かにそういう会社もあります。月に1件も売れなければ手取り数万円。ただし売れれば月収100万、200万というような。

もし営業だけを生業(なりわい)としている会社であればそれもよいと思いますが、そうでなければ通常は営業職とそれ以外の職種の間のチームワークが乱れ、社風が荒れるでしょう。

また、このようなインセンティブ制はトップセールスマンのみ旨みを吸い、普通かそれ以下の成績の営業マンの報酬を下げ、全体としてモチベーションを下げる効果があるといわれています。

割と周りでも、成功報酬制は採っていないか、採っていてもインセンティブの部分は、10万とか20万円以内に抑えているところが多いようです。


[誤解その7]営業は、基本的にノリなので、理論などはなく、頭のいい人間のやる仕事ではない

これは大きな誤解です。営業は緻密な戦略が必要不可欠です。オープナーは軽いノリで、少々のことでダメージを食らわないあっけらかんとしたキャラが向いているかも知れませんが、クローザーは基本的に実直さが一番大事です。

どうも一般には、いい大学を卒業して就職すると「営業研修」を免除され、そうでないと「営業にまわされる」などという風潮があるようですが、私は営業は顧客の心を考えつくす極めて愛にあふれた職業であり、PDCAサイクルで活動するよい練習にもつながり、そして顧客ニーズを肌で知る大きなチャンスですので、誰もみな平等にやるべきだと思いますね。


みなさんの中で、「営業なんて死んでもイヤだ」と、根拠なく思っている人がいらっしゃたら、食わず嫌いをせず、試しに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

就職活動で「営業にも興味がある」なんて言うと、かなりモテると思いますよ。

ちなみに、営業も千差万別。売るものによって営業マンの業務範囲がかなり違いますのでご注意ください。

 

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