オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

NHKスペシャル「人体 3集 骨」

»

https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html...
NHK特集「人体 3集 骨」の録画みた。この「人体」シリーズ、「最新」の研究成果を紹介するということで、面白いのだが、基本的に欧米の研究論文などを検索して紹介してるんだと思う。山中伸弥教授がプロローグで率直に「まだ完全に証明されたとはいえない状態なんで仮説ですが」といっているので、先端的な研究論文の仮説的な人体観の紹介としてみて置くのが正しいだろう。つまり、定説ではない、ということ。
とはいえ、微細な情報伝達物質の内臓や骨、筋肉での生成と、その指令が脳やほかの臓器などに伝わって相互に働きあう、というイメージは、端的に東洋医学(中医学)の五行相克思想に非常に似た人体機能のイメージに近づいている。というより、多分この番組自体がそう考えている。情報伝達を示すCGがすでに、そういう図像で作られている。なので、一応中国武術や薬膳を通じてその手の人体観に親しんでいる我々としては、あーやっぱりそうだったのね的な印象。とはいえ、それはそれで安易なので注意深く考えないといけないところだけど。
それはともかく、骨細胞が作る伝達物質が、筋力、免疫力、精力の活性化を促し、そのほか記憶力も活性化する物質を骨が放出し脳に影響を与えている(つまり「若さ」を保っている)、というのは驚きだった。番組では、骨自体の生成促進と抑制の物質もまた骨の内部で作られ、そのコントロールを促すのは重力による骨への衝撃なのだという。つまり、骨は人体の構造を作っているだけではなく、そこへの衝撃のセンサーシステムになっているのだ。 我々は八卦掌の練習で老師から毎年、夏はスジを鍛えて伸ばし、冬は骨を鍛えるといわれているので、そうか、これが「若さ」を保っているのかあ、と妙に感心。でも、最初にそういわれたときは、「骨ぇ? なんだかなー」と感じたのだから、いい気なものだが。
にしても、そうなると長い時間重力から逃れられてしまう宇宙飛行士や今後さらに遠く火星まで行こうという人間は、何らかの形で重力を再現しないと、ただひたすらひ弱で物覚えの悪いバカになってしまう可能性があるなじゃないの、と思ってしまった(笑)。やっぱ『2001年宇宙の旅(Space Odessey) 』のループ型宇宙船すか?

Comment(1)