夏目房之介の「で?」

夏目ゼミ2017青虫合宿6 「ビッグコミックスピリッツ」80年10月創刊号

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「漫画少年」には、教育マンガ要素もあり、良質な子どもマンガを志向していたといわれる。「漫画天国」は「大人漫画」系の漫画誌で「ストーリーマンガ」を志向していた。60年代後半の「アクション」「ヤンコミ」は明確に「マンガ青年」層をターゲットに、作家陣と作品を選択している。そこには、戦前からあったアメコミ、欧州コミックへの憧憬と導入~国産化の志向が見られ、60年代後半期にはそれらの志向が「劇画」としてまとめ上げられていく。が、「ビッグコミック」(68年創刊)という大手小学館の手塚ートキワ荘系「ストーリーマンガ」+貸本劇画の合同戦略による一種の大衆文芸化があり、そこで石森『佐武市』が日本の大衆小説を象徴する時代劇の漫画化に成功している。そうした流れの中で「スピリッツ」を見ると「なるほどなあ、これが完成形なのかもなあ」という感想をもたざるをえない。ビッグ系作家+サンデー系(高橋留美子)+ジャンプ系(本宮)+アクション系(はるき、青柳)+ヤンコミ系(宮谷)で構成し、「ニューウェーブ」系のいしかわ、吾妻を加え、さらにBDの影響を受けていた谷口に「劇画」的な過激さ過剰さを担わせている。読者欄に作家たちの声をのせ、それはすでに大人が子供に与えている文脈ではなく、同世代かそれ以下の読者を想定している。海外コミックの導入戦略もまた、谷口、御厨などによってすでに完成形になっているように見える。創刊時80年の「スピリッツ」の想定読者層がどこにあったかわからないが、仮に10~20代とすると、60~70年代生まれで、戦後ベビーブーマーではなく、その次の世代層になる。80~90年代の最盛期市場を形成してゆくのは、この年代層以下になってゆくのだと思われる。

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