オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

雲田はるこ『昭和元禄 落語心中』8(講談社)

»

http://itan.jp/contents/list0005.html

出ました。ついに八雲師匠の抱えていた謎が明らかに。で、引退?
正直、あ、この巻で終わり? と思ったら、まだ続くみたいです。でも、ほぼお話は回収されつつあり、盛り上がっているので、このままで行けば次の巻で大団円では? できうれば、あまりひっぱらずにきゅっと締めて終わっていただきたいと思います。

この巻の盛り上がりどころで八雲師匠がいう言葉、
「人の情てエのは ぬぐってもぬぐっても まとわり付いてきゃあがる
死んじまうには この世はあまりに 愛おしい」
は、おそらく落語の本性についてのイメージではないかと思いました。談志師匠は落語を「業の肯定」だと書かれましたが、そういうことではないのかな、と。
ちなみに、今回の巻に出てくる噺は「初天神」「明烏」「芝浜」「愛宕山」「野ざらし」など。これらの噺を知っていると倍以上楽しめますなあ。中でも「明烏」「芝浜」は大ネタで、僕も大好き。「明烏」はもちろん桂文楽、「芝浜」は志ん朝や談志のが好きです。

Comment(0)