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夏目房之介の「で?」

ETV「歴史秘話ヒストリア オラたちの関ヶ原」

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http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/213.html

偶然やっていたので観た。以前から漠然と疑問に感じていたことのひとつだったが、関ヶ原合戦のとき、周辺住民(地元農民)たちはどうしていたのか。まさに、それを間接的な資料などから再現した番組で、なるほどといろいろ面白い発見をした。戦国時代には、一般に農民と武士の境界は曖昧で、江戸期のような飼いならされた農民とは別の存在である、というのが大雑把な知識だった。が、戦後期を通じてそこには農兵分離などの変化があり、ここに登場する農民はひたすら無償労役を課せられ、戦闘時には山に逃げていたようだ。農繁期には戦さをしない、というのも戦国後期にはなくなり、かなり被害者的な存在として描かれている。関ヶ原の農民は、結局家康に直訴し、「禁制」を直接もらうことで、自力救済を行ったということらしい。また、落ち武者狩りは行わず、戦死者の埋葬慰霊を行い、今でもその習慣が続いているという結末には、ちょっと感動した。そのあたりは、どういう変化を背景に起きたことだったんだろうか。
こういう、地味にみえてしまう番組も、たまにはやってくれるとありがたいなあ。

それにしても、たしかに「歴史」とは現存する文書資料をもとに作られた世界観に過ぎないのだな、とあらためて思った次第。

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