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夏目房之介の「で?」

映画『007/スカイフォール』

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http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id342363/

だいぶ時間たっちゃったけども、観ました。
もちろん、それなりに面白いのはわかってたけど、何となく想像の範囲内という気がしたのと、007シリーズ独特の「明るさ」がダニエル・クレイグになってから暗くなっちゃって、ちょいと意気沮喪するような傾向になってたので、手が出にくかったんですね。いや、もちろん彼のジェームス・ボンドは、いささか同じパターンでは先が見えなくなってきてたシリーズを蘇生させたキャラクターを作り上げたので、好きだし、面白いと思うし評価もする。だけど、何しろ半世紀前の007を青春とともに過ごし愛しただけに、昔の007で得られた上向きの感覚が逆向きになった気もしているので、躊躇があったんであります。

ま、いいわけはともかく(多分誰にも意味をもたないいいわけですが)、当然のように面白かったです。まずは、冒頭のスタント・アクションはかなりすごい。あともいっさい飽きない。でも、昔からのファンとしては、新旧(いろんな意味での)の対立がなかなか見応えがあった。そして、何よりも、最後の対決の前に懐かしのアストンマーティンDB5(車には詳しくないけど『ゴールドフィンガー』に登場したこの車はおぼえてる)が出てきて、おまけに音楽がそこで昔の演奏バージョンになったのが嬉しくて、叫んでしまった。最後にボンドが入るオフィスには、美人秘書と帽子かけがあるし(ただ、ボンドが帽子を投げてかける場面はなかったけどね)。

それにしても、これでシリーズは50年になるのだった。
1964年!
何と、僕は14歳。中学生で、ショーン・コネリーのボンドにいかれ、『ロシアより愛を込めて』でぞっこんになり、『ゴールドフィンガー』ですっかり「なじみ」になってしまった。半世紀前の恋人が(人は変わったけど)、今でも素敵なそぶりを見せてくれるのをずっと観てきたような感じだ。今、僕は63歳で、来月64歳。

昔のボンドを見直してみたい気がする映画だなあ。

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