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夏目房之介の「で?」

日本マンガ学会大会と「僕らの漫画」

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Photo会場で買った東日本震災復興支援チャリティーコミックと銘打った『僕らの漫画』(「僕らの漫画」制作委員会 2012年)は、2年前の本ですが、三宅乱丈、村上たかし、えすとえむ、ヤマザキマリ、喜国雅彦、さそうあきら、とりみきなど多くの漫画家が参加してます。誰の、とはいいませんが、いくつか「名作」といっていい作品があります。いいです。

京都精華大学と京都国際マンガミュージアムで7月28~29日の両日行われた日本マンガ学会第14回大会に参加してきました。ひとつは、うちのゼミの博士課程卒業生・可児洋介氏の発表「鶴見俊輔と石子順造のコミュニケーション論」(28日)があったので。発表は好評で、小野耕世さん、呉智英さん、村上知彦さんから「面白いね」との言葉を聞きました。うちの修士カ・ブンブンさん(冗談ではなくて、日本の漢字にない文字の日本語読みで、こうなっちゃう)のポスター発表もありました。
翌日のシンポジウム「震災とマンガ」は、正直疲れたので第2部「震災を描く」(しりあがり寿、とり・みき、山本おさむ、ヤマザキマリ 司会・藤本由香里)の前半を聴いただけですが、面白かったです。とくに、とりさん、ヤマザキさんの発言が印象に残りました。

大会の参加は、もちろん研究発表やシンポを聞くこともあるのですが、若い研究者、学生、そして昔からのマンガ研究仲間や先輩たちと会える、情報交換もできる、というのが楽しみです。呉さんと久々に楽しい歴史談義をしたり、村上さんと可児さんを含めて昔のマンガ批評言説の話をしながら「俺たち、もう歴史の一次資料になったんだねー」などといいあい、吉村和真さんと(今や京都精華大学のマンガ学部准教授)大学生の頃の彼から熊本で卒論の相談を受けた20年前の話を学生諸君の前でして、こんどカラオケしようぜって盛り上がったり、ひじょうに楽しく交流させてもらいました。もちろん、うちのゼミ生も若干きてましたが、ほんとは来たほうがいいだろう修士1~2年は来てなかったようです。こういう場が苦手な人もいるんでしょうが、無駄に思えるかもしれない場の交流って、じつは大きなモチベーションを与えてくれたり、ヒントを与えてくれたりするもんなんですけどね。まあ、京都に自費でこなくちゃいけないのは、負担でしょうが、残念なことです。

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