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夏目房之介の「で?」

共同研究プロジェクトの資料調査旅行

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8月26~28日の三泊四日、身体表象の共同研究プロジェクトの一環で、参加研究者有志と関西の資料調査旅行に行ってきました。
26日、まずは京都国際マンガミュージアムのご協力をいただき、貴重書庫を見せていただきながら、マンガ・アーカイブの現在の課題などをうかがった。27日は、ミュージアムで開催中の「バレエ・マンガ展」を鑑賞後、半日かけて希望する資料をじっくり見せていただいた。僕は、清水コレクションの明治ポンチ本、戦前~戦後の小型の赤本漫画、同じく漫画の描き方本など。夜、大阪に移動し、村上知彦氏と会食。
28日は、村上さんの膨大で多様な、おもに70年代の資料を見せていただいた。当時の雑誌、朝日ジャーナルの同人誌特集、ミニコミから、「現代の眼」など新左翼系学生の読んだ雑誌、初期の「ぴあ」などから、様々な同人誌、村上さんが出していた「月光仮面通信」、当時のシングル・レコード、映画のチラシ、斉藤次郎の「まんがコミュニケーション」の終刊時の手紙というレアなものまで、まことに多種多様。が、同時代をマンガ青年として過ごした僕と村上さんが資料を前に語る話は、若い研究者たちにも興味深いものだったようだ。村上さんとは、すでに「歴史」となってしまい、今の研究者にはわかりにくいだろう当時の錯綜した文化状況や時代感覚など、どうしたら今の研究者に伝えられるんだろうと、最近話し合っていたのだ。
あとで思ったのだが、ビデオで映像と音声を記録しておけば、資料整理にもずいぶん役に立ったのにと思った。機会を改めてやってもいいかもしれない。今後の課題であろう。
資料を見ると、一気に集中してしまって面白いのだが、はっきりいって疲れる。でも、非常に面白いし、色々と刺激的な旅行となった。さらに若い学生たちにも、もっと歴史の面白さをわかってもらえるといいなと思う。

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