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夏目房之介の「で?」

NHK特集「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」

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http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0113/index.html

NHK総合で放送され、16.8%の視聴率を記録した番組。再放送を録画して観ました。
面白かった。ダイオウイカは、でかいのになると18メートルになるというバケモノで、僕ら世代では映画『海底2万マイル』で登場するお化けイカとして記憶されている。まさかホントにいるはずない、と昔は思ってたが、深海600~800メートルに実際生息し、マッコウクジラと格闘するんだそうだ。いやあ、まさにジュール・ベルヌの世界! この怪生物は生態がほとんど不明で、打ち上げられたりした死骸くらいしか確認されていなかったらしいが、このプロジェクトでは、世界の研究者が様々な方法でおびき寄せ、深海艇で直接撮影しようと試みる。クジラにカメラをつけて撮影しようとした研究者もいた。が、結局、プロジェクト・リーダーだった日本の研究者が、エサに1メートルのイカを使い、成功する。しかも、本人の目の前で、ダイオウイカがウィンクするのだ。僕だったら、飛び上がって喜ぶし、泣くと思うけど、そこんとこけっこう冷静でした(笑 まあ、そこで捉えたダイオウイカは全長7メートルと推測される、やや小ぶりな(?)ダイオウイカだったけども。
NHKは、たまにこういう優れたドキュメンタリーを作るから、えらい。民放では、10年もかけて、こんなプロジェクトやれない。10年かけて、放映時間1時間。もちろん、NHKだけで実現したわけじゃないだろうけどね。

日本人にとってイカは、おいしい食材として親しみのある生物だ。新鮮なイカの刺身などを食べたことのある人なら、あるいは生きている彼らを知っていれば、イカがいかに(いや、シャレじゃないから)美しいかも知っているだろう。彼らは、あの透明な体を見事なほどに輝かせ、きらめかせながら泳ぐ。そして、TVの映像では、その巨大な奴が金色にきらめきながら映るのだ。
ところで、昔、写真雑誌に、アフリカ沖で何者かから逃げるイカの群れが、まるでトビウオのように、海面の上を群れをなして滑空している写真を見たことがある。胴体のヒレや足を見事に開き、美しい飛行であった。そういう話を、当時常連だった代田橋のすし屋で話したら、そこのオヤジが全然信じないので、雑誌を持っていった。オヤジは感動したのだが、「貸して」といってもっていったまんま、結局返してくれなかった。突然思い出してしまった(笑 

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