夏目房之介の「で?」

小野佐世男展(岡本太郎美術館)

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http://www.taromuseum.jp/exhibition/current.html

本日は、ゼミのかわりに、ゼミ生+αで生田緑地の岡本太郎美術館「小野佐世男 モガ オン パレード」展を観にいきました。ちなみに小野佐世男は、小野耕世さんのお父上です。
いやあ、かなりの量で、3時頃から入って、ふと気づくと閉館の5時。もっと観ていたかった記録映画を半分も観られなかった。また行ければ行こうかな。
何といっても、漫画日記の絵が素晴らしい。ほかの当時の漫画と比べても、抜群に線がいい、造形がいい。筆一本でモダンなかっこいい絵を描いている。漫画が、ヨーロッパの現代芸術と直結したモダニズムのかっこよさを持った時代、そのイメージを反映したかのような、豊かな女性像。まるでムーラン・ルージュのような色とりどりの夜に舞う女体への憧憬は、しかし戦争期(インドネシアで従軍マンガ家となる)を越えて戦後になると、微妙に胸や腕足のふくらみの描線、造形が変化し、まるで膨らし粉を入れ過ぎたようにパンパンに丸くなる。胸はボールのように描かれてる。不思議な変化だ。戦前の、あの生き生き溌剌としたモダニズムに、世紀末的な揺れる曲線をあわせたような感じが、分節されてしまっているように見える。この変化、何だろう。
でも、とにかく女体が描きたいんですね、この人。その思いが、ダイレクトにビンビン伝わる。素晴らしいなあ。

漫画が芸術と結びつき、闊達な運動であった時代を感じられる展示です。そして、漫画の戦前、戦中、戦後の連続と非連続を感じられる。
インドネシアでのスケッチには、バリ島もあって、聖獣バロンや魔女ランダのお面なども、見事な描線でスケッチされてます。見ごたえアリ。

Comment(1)

コメント

yu

↑「モガ」ですね。このレビューに惹かれてネットで拝見しました。濃密な曲線が独特の色気を放っていて、ちょっと忘れられないような印象を残しますね。

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