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夏目房之介の「で?」

中間発表

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昨日、土曜は午後1時から6時まで、身体表象専攻の中間発表でした。

僕が主査の人が多かったので、集中力をとぎらせないようにするのに精一杯。いやあ、疲れ果てました。しんどかったです、心理的に。とくに修士の諸君には正直不安もあったし。

でも、僕の主査ではない人たちの発表にも、非常に興味深いテーマの発表が多く、刺激になりました。こんな面白そうなことやってる人たちがいるんですね。
バレエを主題に、19世紀のトゥシューズや器具を使った身体訓練の始まりは、19世紀における欧州の身体像の変容を連想させて、大地さんのピアノ奏法の変化(『からだの文化』五曜書房))を思い出したし、宝塚のファン研究も色んなことを考えさせられました。さらに、幕末~明治初期の日本人自身による、欧州のジャポニスム=エキゾティズムへの積極的寄与の問題も、面白かった。日本が欧州に見せたい日本人像と、それより時代が下ったアジア主義に見られる、アジアに対する自己像との間の矛盾を想起させられました。万博を巡る視線の交換が、欧米と日本、アジアの「近代」につながる大きな歴史的問題だと感じました。

7時からの親睦会では、できるだけ普段会わない学生諸君と話すことができました。
また、『ナウシカ』論を構想している学生(事情があって、ほとんど学習院にこられなくなった博士課程の人)の発表も、このままやれば絶対面白い論文にあるとの確信をもらえた。
益多き日でした。

とはいえ、非常に疲れてしまい、早めに失礼して、ちょっと自由が丘で飲んで歌って、発散して帰りました。

さて、明日は休んで、月曜から京都、火曜から花園大学での集中講義と講演です。がんばらねば。

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