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夏目房之介の「で?」

今期最後の講義のレジュメ

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今期最後の講義は、試験のことと、見せられなかった視覚資料、「まんがビデオ」の紹介、絵巻物とスクロールして読むことの面白さを、映像と実物投影機で行った。そのあと、いくつか質問を受け付けた。以下は、配布したレジュメ。

2011年度 現代マンガ学講義(5)  夏目房之介

1)期末試験について (削除)

2)参考文献 講義で話したことを、さらに知りたい人は、以下のような本が参考になると思います。このリストは、大学院の夏目ゼミで必須文献としてあげるものを元にしてあります。

 マンガ表現論

○四方田犬彦『漫画原論』筑摩書房 1994 →ちくま文庫 1999

○大塚英志『アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題徳間書店 2003 →角川文庫 

○スコット・マクラウド『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論美術出版社 1998

○伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へNTT出版 2005

○竹内オサム『マンガ表現学入門』筑摩書房 2005

マンガ史

○清水勲『漫画の歴史』岩波新書 1991

「別冊太陽」『子どもの昭和史 昭和二十年―三十五年』『同 昭和三十五-四十八年』『同 名作コミック集 昭和元年―二十年』『同 少年マンガの世界Ⅰ 昭和二十年―三十五年』『同  昭和三十五年―六十四年平凡社 1987~96 など

○竹内オサム『戦後マンガ50年史』筑摩書房 1995

 

少女マンガ

○藤本由香里『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち学陽書房 1998 →朝日文庫

○米沢嘉博『戦後少女マンガ史』新評社 1980 →ちくま文庫

○「別冊太陽」子どもの昭和史 少女マンガの世界Ⅰ 昭和二十年―三十七年』『同  三十八年―六十四年』平凡社 1991

市場論 

○中野晴行『マンガ産業論』筑摩書房 2004 

○小田切博『キャラクターとは何か』ちくま新書 2010

おたく論 

○東浩紀『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会講談社現代新書 2001

 

○大塚英志『「おたく」の精神史 一九八〇年代論講談社現代新書 2004

○吉本たいまつ『おたくの起源』NTT出版 2009

海外 

○小田切博『戦争はいかに「マンガ」を変えるか アメリカンコミックスの変貌NTT出版 2007

○夏目房之介「東アジアに拡がるマンガ文化」 青木保、吉見俊也、四方田犬彦他編『アジア新世紀6 メディア  言論と表象の地政学岩波書店 2003

 

マンガ編集論

○宮原照夫『実録!少年マガジン編集奮闘記』講談社 2005

○西村繁男『わが青春の『少年ジャンプ』』幻冬舎文庫 1997

○長井勝一『「ガロ」編集長 私の戦後マンガ出版史筑摩書房 1982 →ちくま文庫

 著作権 著作権については、講義でできませんでしたが日常生活でも必要な重要な領域です。

○岡本薫『著作権の考え方』岩波新書 2003

○米沢嘉博監修『マンガと著作権 -パロディと引用と同人誌と-青林工藝舎 2001

 論集 マンガ研究で重要な論集、特集としては、以下のようなものもあります。

○ジャクリーヌ・ベルント編『マン美研‐マンガの美/学的な次元への接近醍醐書房 2002

○ジャクリーヌ・ベルント、国際マンガ研究センター編 国際マンガ研究1『世界のコミックスとコミックスの世界 グローバルなマンガ研究を開くために』京都精華大学国際マンガ研究センター 2010

○「ユリイカ」「特集 マンガ批評の最前線」20061月号/「マンガ批評の新展開」20086月号

 参考 レポートや論文を書くために役立つ基礎文献としておすすめします。

○鹿島茂『勝つための論文の書き方』文春新書 2003

○石田英敬『記号の知/メディアの知 日常生活批判のためのレッスン東京大学出版 2003

その他、これら様々な領域についてエッセイ的に横断した拙著を紹介しておきます。

夏目房之介『マンガの深読み、大人読み』イースト・プレス 2004 →光文社 知恵の森文庫

『マンガ学への挑戦 進化する批評地図NTT出版 2004

『マンガは今どうなっておるのか?』メディアセレクト 2005

3)ごく個人的に好きな最近のマンガ

○いがらしみきおSink1~2 竹書房 「神」をめぐるホラー物

○さそうあきら『ミュジコフィリア』1~2 双葉社 『神童』(ピアニスト)、『マエストロ』(指揮者)に続く、さそうのクラシック物で、何と現代音楽をテーマにした学園物

○松尾スズキ原作、すぎむらしんいち漫画『老人賭博』1 講談社 むちゃくちゃなコメディ

○ふみふみこ『女の穴』徳間書店 新人らしい清新さで、奇妙な世界観を描く

○宮崎克原作、吉本浩二漫画『ブラックジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~秋田書店 手塚のとんでもないエピソードを集めたマンガ

○吉田秋生『海街diary1~4 小学館 鎌倉に住む姉妹の、しみじみと「人生」を感じる物語

○清水玲子『秘密』1~7 白泉社 近未来警察ミステリー 

○エマニュエル・ギベール『アランの戦争』国書刊行会 実在の米国人の戦争体験や人生を描いたBD

○ブノワ・ペータース作、フランソワ・スクイテン画『闇の国々』小学館集英社プロダクション 圧倒的なBDの重厚さ、深さを感じさせるファンタジー

番外 みなもと太郎『風雲児たち』シリーズ リイド社 江戸から幕末の歴史が好きになる傑作

 雑誌では「アフタヌーン」「メロディ」など

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