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夏目房之介の「で?」

ある高校のフィールドワーク授業

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先日、埼玉の開智高校の生徒さんが、フィールドワーク授業のためにインタビューにきた。この中高一貫校では、フィールドワークの授業があり、その生徒さんたちは「日本でマンガが盛んになった理由」とか「海外で受け入れられている背景」などを尋ねてくれた。

いい授業だと思う。ゼミ前の1時間ほどお話ししたら、その後お礼の手紙が届いた。手紙の主である高校1年の生徒さんは、2年生まで同じ主題で活動を進め、来年はイギリスで向こうの大学生に内容を説明すると書いていた。すごいね。

日本の高校でも、こんな素敵な授業があるんですね。協力できてよかった。
自分の疑問に形を与えて問題を立て、それを質問という形で言語化し、再び自分で考えてそれを英語で(?)ネイティブに説明する。知的な刺戟と、それを考えてアウトプットし、プレゼンテイションすることは、実社会でも必要とされるもっとも基礎的な能力だと思う。

院生相手にゼミをやっていても、言語化、論理化、プレゼンテイションの能力が本当に問題になる。いい直観力を持っていても、それを相手に伝える能力がなかなか引き出せない人も多い。はっきりと自分の声で相手に伝える、という基礎的な訓練が、もっと必要だと実感する。こういう授業がもっとあるといいのかもしれないな、と思いました。

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