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夏目房之介の「で?」

3人ボクシング!?

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TV「しるしるみしる」で「三人ボクシング」というのをやってた。
大橋ジムの現役日本チャンプ3人で、まず3Rやったが、これは非常に興味深かった。ボクシングは通常相手は一人だから、視線はあくまで一つに集中すればいい。広げるとしても、相手の体全体を眺めればいい。

ところが、3人になると、動く相手が二つになるので、とたんに180度かそれ以上に視野を広げないと、どこからパンチがくるかわからないので、意識の持ち方と歩の回転角度を変えないと、対応できない。これが見てるとじつに面白い。二人と三人では、1.5倍ではまったくなく、乗ずるが如き倍数になっていく。合気道では、たしか複数相手の実践をやったりするはずだが、たしかに回転の角度が大きい気がする。ほんとは、八卦掌もそういうもんなんだろう。

これって、人間一般に対である状態と、3人では、まったく位相が異なってしまうという原理に合致する。3人は、集団の最小単位なので、人間が集団でいるときの本質的な力関係を表してしまうのだろう。つまり、2対1の組み合わせが、常に変動していくのだ(吉本の、対幻想と共同幻想の差だろうか)。

現役のあとは、お笑い担当で元世界チャンプ、ガッツ石松、具志堅用高、えっともうひとりで同じように3Rやったが、前半はさすがだなという場面があって、後半グダグダという、予想通りの展開だった。いやあ、面白かったね。

大橋会長は「これで練習すると、一対一に帰ったときに、ずいぶん楽に感じると思うので、練習に取り入れてみたい」と語っていた。TVのバラエティといえども、ときに面白い検証をしてくれるものだ。

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