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夏目房之介の「で?」

さそうあきら『ミュジコフィリア』1 双葉社

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さっき「何でもランキング」で音楽についての「都市伝説」なるランキングをやっていて、2問しかなかったけど、2問とも正解してしまった。一つは「ジョン・レノンには人の名前を叫ぶだけのCDがある」というものだが、これは何となく記憶があった。ジョンとヨーコが互いに呼び合うだけで、二人の心臓音がバックに流れるだけのやたら長い曲があるのだ。ま、バカバカしいとしか僕には思えなかったけどね。
もうひとつが、「音がまったくしないクラシックの曲がある」というのだが、これはジョン・ケージの現代音楽で(なのでクラシックかというと疑問だけども)、楽譜に休止としか書いてないので、4分以上無音の曲がある。観客が楽曲のない状態で、それ以外の「音」を聴くことになるというリクツはついているけど、これもバカバカしいとしか僕には思えないのよね。この手の現代芸術的な考え方自体が好きじゃないんだよ、基本娯楽体質なもんで。
何でこれを知ってたかというと、最近マンガで知ったのだった。ピアノと指揮者を主題にした音楽マンガを描いてきたさそうあきらが、ついに現代音楽を主題にして『ミュジコフィリア』というマンガを描いてしまったのだ。主人公がどうやら、ものすごい耳を持っているらしく、今後の活躍を期待させる。
それと、僕は基本キテレツな現代音楽興味ないんだけど、マンガとして読むと「アイデア」として読めちゃうので面白いんだな、と思った。考えてみると、料理やスポーツや何でもマンガになっているが、それらの「技」や「芸」をマンガ的に比べて勝負を形成するのって、「アイデア」の奇抜さ、面白さなんだよね。実際に作ったもの食べたいかというと、食べたくないのが多いし、できっこない必殺技だったりするので、そのレベルで現代音楽もマンガ化されると読めちゃうのかも。まあ、さそうの音楽マンガだから、単純なバトル物じゃなくて、なかなか「音楽って何?」に迫ってたりするところがいいんだけどね。しかし、さそうあきら、やっぱりチャンレジャーだなあ。すごい。

http://natalie.mu/comic/news/42975

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