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夏目房之介の「で?」

帰国しました

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大地震があって、混乱したまま、出発しました。
じつは当日に成田EXが止まり、これで行けなければしょうがないとあきらめたんですが、何とか間に合ってしまった。今回の僕個人の状態は相当せっぱつまっていて、ほかのことを考えられない状態だったので、家族を残してこの時期に出国してしまったことに、向こうに行って一週間近くたってから自分でガクゼンとしてしまいました。毎日ヤフーメールで奥さんと連絡をとり、情報を集めていましたが、自分の疲れがとれるにしたがって、自責の念に責められ続ける旅になりました。とはいえ、身体的にはずいぶん安まり、精神的にもだいぶ疲れは出たと思います。ただ、胃腸がかえってトーンダウンした状態での帰国となりました。

いろいろ報告すべきことがありますが、帰国後すぐに奥さんのところに行き二泊して、ようやく少し落ち着いたので、個人的な報告だけまずアップしておきます。

バリを立つ日に、向こうでお話した日本人の方から、水のペットボトル1.5Lの12本ケースを買って、荷物として成田に運び、成田のHISカウンターにもっていくと、そのまま被災地に送り届けてもらえると聞き、バリの空港までの間に買い込みました。
たまたま、バリに長くこられている、その話を伺った方と空港で一緒になり、一緒にチェックインしたのですが、そのとき(考えてみれば当たり前なんですが)水だけで18キロになるため、軽く制限オーバーになることに気付き、超過の料金を取られることに。その方はインドネシア語が堪能なので、チェックインカウンターやらカスタマーセンターやらで、「これは僕らの私物ではなく、被災地に運ぶものなので、規則はわかるけど、料金を払うならその分を被災地に送りたいんだ」と粘ってくれました。でも、けっきょく(少し負けてくれたらしいんですが)僕とその方あわせて12000円ほど払いました。高い水になってしまいました。

でも、インドネシアでは、現地の人たちはもちろん、多くの外国人の方から心配されました。
泊まったところの近くの高校でも、生徒たちが募金をしてくれたと聞きます。
その一方で、同じニュースを読んでも、日本の文脈を知っている僕と違い、現地の日本人でも相当過剰に物事を受け取り、ややパニックに近い判断をする場合も感じました。海外のほうが、日本より過剰反応を起こしやすい、ということなのかもしれません。

最後になりますが、今次の災害で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表します。
また、災害地の方々には、どうか今後を生き抜き、再生されることを切にお祈りします。
また原発施設の現場でたたかっている方々は、衣食住の不十分な過酷な状況で、無理をせざるをえないと思いますが、どうか無事でお仕事をされますように。仕事の環境が一刻も早く改善されることを。
悲しみや苦労の大きさは想像を絶します。今後の再生の過程で、僕も含め、できることがあれば少しずつでもやっていくしか今はないだろうと思います。

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