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夏目房之介の「で?」

『金スマ』のダウン症の書家

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『金スマ』でダウン症の金澤翔子さんという人の書を紹介していた。
このテの泣かせ番組はあまり好きではないけど、チャンネルを変えようと思っていたら、寺に奉納された彼女の「風神雷神」の書を観て、衝撃を受け、そのまま観た。初期に書かれたらしい「般若心経」もすばらしい。ちょっと良寛を感じる。すべて、とはいわないが、画面に映る多くの作品は、文句なく感動的な作品である。映像中で書かれた「花鳥風月」の「風」の字の凄さは、ちょっと説明する言葉がない。右下のハネが、そのままゆらゆらと、しかし力をもって字の右上にまで巻き上がる姿と(この過程をカメラが捉えていてぞくりとした)、「虫」の字のまるで人の目のような造形は、文字というものの生命を感じさせる。大きな文字ばかりを映していたが、「般若心経」のような小文字の作品も見てみたかった。
書、というのは、まことに不思議なものだ。

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