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夏目房之介の「で?」

ゴトウユキコ『R-中学生』

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ゴトウユキコ『R-中学生』1(講談社)。
ヤンマガ連載作品。

えっとですね、スケベでおバカで変態な中学生男子のお話なんですが、そう書いて大体想像されるであろうマンガとちょと違う。「全然」までは違わない。基本そうなんだけど、ちょと違う。その「ちょと」がけっこう面白いので、笑えます。ぎゃはは、と笑うとこもあるんだけど、えへへ、と思い当たりで笑ったり、何か大昔に過ぎていた頃の自分に笑いかけるとこもある。

ちょと違うそのイチは、女の子たちが、おバカな男子と並行して、同等に出てくるところ。これは作者が女性だからなのかな。逆に言えば、女性がここまでおバカでスケベで変態な、どうにもしょうがない男子を描けて、しかもどっかでカワイイようにも思える視線がまじるところが、なかなか興味深いところです。ちなみに、僕の経験では中学男子なんて、急性変態ショーではあると思います。

ちょと違うそのニは、おおむねこうしたマンガでは、推測のつくところで「意外にいい奴」とか「どうしようもないのに、少しいい話」とか、落とし所があって、それで読者も安心するところがあるんだけど、そこには落とさない。バカはバカ。スケベはスケベ。変態は変態。そこも、なかなか味わいどころ。ま、好き嫌いはあるでしょうが、そこんとこちょとだけ過激。

絵は、抜けのある、柔らかい印象の丸っこい人物造形で、多分グロ描くと果てしなくなりそうな感じの絵ですが、今のところ、きわどくかわいい感じです。女の子の下着の描写に、みょうお~にこだわりが感じられる気がします。で、幼い女子の大人っぽく色っぽいお姉さんは、けっこう色気にある描線だったりします。僕はおじさん(こないだ保育園の女の子に「おじいさん」といわれましたが・・・・ま、たしかにもうすぐ還暦だけど)なんで、そういう絵で何か描いてほしいかも。
コマは、かなり細かく切ってて、速度感ありますね。

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