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夏目房之介の「で?」

古本屋二軒

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いったい、最初は何だっけなー。
あ、そうだ。冬物をクリーニングに出しに商店街に出たんだった。
そのあと、戸越銀座商店街のブックオフ斜め向かいの古本屋が閉店すると聞いて、ちょいと見に行ったのだ。
で、岡本太郎、埴谷雄高監修、福田和彦編述『秘本浮世絵歌麿・清長・栄之・湖龍齋・春湖』『秘本浮世絵大錦』芳賀書店という箱入りの本2冊を、計900円で買った。
何となく気分がよくて、戸越銀座を歩いていき、仲原街道のほうの古書店も見てみようと思ってしまった(これが間違い)。いい陽気だもんね。

途中、おじさんが老犬を散歩させていた。八百屋のおかみさんが「何か、ゆっくりした犬だねぇ」と声をかけた。おじさんは「そう、もうトシだからねえ、16年だから」と答えているのを聞いて、何とも呑気な、うららかな気分になった。犬が振り向くと、なるほど老犬であった。「ゆっくりした犬」って、いい表現だよねえ。

じつは、もう一軒の小川書店はなかなかスルドいものを置いていて、やたらに入ると大変なことになるので、めったに行かないようにしている。でも、行っちゃった。戦争期の本や雑誌など、面白そうなものが並んでいたりするのだ。
一応、頭の中には、こないだの講義で戦前の「少年倶楽部」の話をしながら、実物を見せられないなあと思い、あったら入手しようと思ってはいたのだ。

そしたら、見事に復刻版があるじゃないですか。参ったね。
それをおさえて、ちょっと見て回ったのが運のつき。結局、以下のような次第。

講談社 復刻愛蔵版「少年倶楽部」昭和8年度1~12月号(箱入り4集)
毎日新聞社「さよならフクちゃん」71年 箱入り サイン入り 新聞切り抜きもあり 544ページ
田河水泡『漫画の缶詰』講談社 昭和5年 箱なし(希少本らしい)
中央公論社「図解科学」昭和19年5月号(戦争期の科学雑誌)
朝日新聞社「科学朝日」昭和25年10月号(戦後の朝鮮戦争期の科学雑誌)
平凡社「別冊太陽 子どもの昭和史 昭和十年-二十年」(研究室になかったので)

計5万円弱也。だからヤバいんだよなあ、この店は。値引きしてくれたけどね。
もちろん、これらは研究室用です。

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