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夏目房之介の「で?」

アラン・ムーア作・デヴィッド・ロイド画『Vフォー・ヴァンデッタ』小学館集英社プロダクション

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『ウォッチマン』は以前翻訳された時読んで、今回『フロム・ヘル』を読み、はずみがついた。
『バットマン キリング・ジョーク』『TOP10』と読んで『V FOR VENDETTA』を読んだ。80年代の連載作品で、ムーア自身は自分の思想が若かったと本の中で書いたりしている。英国がコンピューター管理の過酷なファシズムに管理されている平行世界的な設定で、謎の仮面のアンチ・ヒーローが破壊工作で国家権力を崩壊させる話。アラン・ムーアは、やっぱり破格に面白い。続けて読むとけっこう暗くはなる(笑)が、何かひどく読者を惹きつける大きな力を持った作家、ということだろう。『V』には、彼の持っているヒーロー像の原型が感じられる気がする。たしかに『フロム・ヘル』などの重厚さや奥行と比べると、ちょっと幼稚な印象は受けるが、魅力的な部分は同じだ。こうして、いくつものムーア作品を比べて読めるようになったのは、じつにありがたいね。

アラン・ムーアって、ずいぶん多くの作品が映画化されている。『ウォッチマン』も『フロム・ヘル』もいい映画だった。『リーグ・オブ・レジェンド』(まあ僕好みの楽しい娯楽映画だったしショーン・コネリーかっこいいけど、たいした映画ではなかった)や『コンスタンティン』(観てない)もそうなんだね。『フロム・ヘル』はヒューゴー賞初のコミックによる受賞を果たしたらしい。

http://www.bk1.jp/contents/booklist/0910_amecomi

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