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夏目房之介の「で?」

小池桂一・神崎夢現『かたじけない』

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小池桂一作画・神崎夢現原作『かたじけない』(エンターブレイン)が出た。

どっかで一部だけ読んだおぼえがあるが、帯によると20年前の作品らしい(初出データとか、見当たらなかったけど、どっかに書いてあるんだろうか?)。
何と言うか、じつにすっとぼけたドラッグ時代劇。幕末を背景に、小池得意のドラッグ感覚のぶっ飛び画面が荒唐無稽で破天荒な話で展開される。コマ割も凝っていて、普通の日本マンガではない。BDのアート的な作品に近く、本そのものがBDアルバム的なハードカバー。一色マンガではあるが、この密度のある画面なら、この大きさがふさわしい。

神崎さんはグラフィック・デザイナーで、かつて僕の本の装丁もお願いしたことがある。その昔、自販機エロ雑誌のアリス社にいて、竹熊健太郎氏ともその頃知り合っている。竹熊さんから話を聞いたことがあるが、70年代のドラッグカルチャーに浸った人らしく、なるほどこの原作は腑に落ちる。

面白いです。

2800円を高いと感じる人もいるかもしれない。でも、日本のマンガは基本的に安い。出版全体に対する売上と部数のシェアを見れば、部数のシェアのほうが倍近くになる。つまり薄利多売商品なので、一般書籍と考えればそう高いわけではない。こういうスタイルがもっと増えてもいいんじゃないかと思う。

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