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夏目房之介の「で?」

八卦掌の充実感、再び

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今年春から復縁した奥さんと一緒に八卦掌の練習をしている。一緒にいるときは、毎日の自分の練習も二人でやる。
李先生の長期滞在中の練習もできるだけ出たし、日々の練習も僕と同じ時間やっていた。

少し前、週一回のバッキーズにエドがきた。奥さんの練習を見ていた彼がこういった。
「長い時間やろうと思うから、力を加減しようと思ってしまう。5分だけやろうと思ってやってね」
うまいサジェスチョンだった。その直後、奥さんの姿勢がまっすぐになった。どうしても胸が張って、上半身で歩こうとし、その分、腰が伸びてしまう。腰がまっすぐに落ちず、へこんでしまう。それが、李先生との練習時のように、まっすぐになっていた。
それで、僕との練習のときも、僕の半分の時間でやるように調整した。僕は歩数を数えて歩くのだが(これは李先生はやってはいけないという)、熊形で左右200歩ずつ計400歩で大体20分になる。
それを100歩ずつに分けて左右反転し、奥さんはそれより少し短めにあがるようにした。

ところで、僕も時間的に余裕がないと、奥さんと同じ100歩左右で仕上げることがある。そのときは、普段よりずっと姿勢を低くしてやるようにした。すると、驚くほどいろんな点で、自分がサボっていたことがわかってきた。ちょうど、うまい具合に上半身の重さや力を抜いて落とす感じが出てきたときでもあったので、足がまずずっと充実するようになり、腰腹の充実もはっきりと出てきて、それだけねじれの張りも強く感じた。そうなってはじめて、李先生帰国後自分の走圏が軽くなってしまっていたのがわかった。何となくは感じていたけど、姿勢が高く楽になりすぎていたのだ。
それ以来、テーマを「低く」にしてやっていたら、以前感じていた毎朝の充実感、歩くときの力強い感じが戻ってきた。人の練習を見る、というのも大事なのだ。

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