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夏目房之介の「で?」

現代マンガ学講義22 マンガのコマとは何か(1)

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2008.11.27 現代マンガ学講義22 マンガのコマとは何か(1)  夏目房之介

1)前回より

 江戸黄表紙など 例図

建造物の枠線化 → 雲のコマ化 吹き出し状の囲み(夢) 抽象的な規範性

参照 棚橋正博校注編『江戸戯作草紙』小学館 00年 夏目「黄表紙をマンガから見る」引用図版など

2)起源と成立 日本編

日本における「コマ的なるもの」の成立 

前マンガ的諸表現の「コマ」的なもの 規範性のある分割・分節 絵によるコマ的機能

→幕末明治期、西洋戯画の影響と新聞媒体の普及による「絵の区画」

清水勲ら『日本まんがの300年 漫画まんがマンガ展』図録 

川崎市

市民ミュージアム 93年 21p 明治10年、西南戦争報道錦絵8コマ 58~59「コマ漫画の歴史」  コマ枠なしの時間推移表現→ページによる分節?→『北斎漫画』並列/時間順序の枠組→『ジャパン・パンチ』→新聞・雑誌のコマ形式(初期=明治14年、定着明治20年代 コマの枠線が「コマ」ではない→空間区画の機能と時間分節の種類として考えるべき? となると絵巻物などの時間分節はどう考えるべきか?

伝岩佐又兵衛『小栗判官絵巻』17c. 『をく里』宮内庁三の丸尚蔵館図録No.8 財団法人菊葉文化協会 95年 26~27p 同じ屋敷の場面を繰り返し描く事件の分節 絵巻なので視界に入る範囲がフレームと考えられる

平瀬輔世『天狗通』 1799年 より 手品の解説 コマ割あり 人物、手のアップ

物語の分節ではないがコマ枠という機能はありえた →すごろくは?

 山本慶一「奇術コレクション その2」国立演芸場演芸資料展示室パンフレット

ほぼ現在のコマに近い枠の用法、機能があったが、では何が違ったのか?

3)西洋の場合 ロドルフ・テプフェール

19C.絵本の表現 野村泫『目で見るグリム童話』ちくま文庫 「蛙の王様」1856年 33p 「兄と妹」1857年 37p 建物による分節と異時同図表現 コマ枠による表現 

中世の「コマ的なるもの」の表現 コマ/枠?

 『死の舞踏 中世末期から現代まで』デュッセルドルフ大学版画素描コレクションによる 国立西洋美術館 00年 図録 80p ハンス・ホルバイン(子)「死の舞踏」 1,2,4,6,8葉 中世連続宗教版画

『ゴヤ 版画にみる時代と独創』 国立西洋美術館 99年 図録 161p 18末~19c初頭 「下品なベルトルドの一家」 4コマからなる併置画による「伝承された物語」の絵

ウィリアム・ホガース『四時の風景』 朝~夜中 4葉

テプフェール 『M(ムッシュー).ヴィユ・ボワ』

以下、ゼミ(11/27)発表と同じ

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