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夏目房之介の「で?」

サンケイの『軍鶏』係争記事のコメント

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080628/trl0806280121000-n2.htm

『軍鶏』のマンガ家たなかさんが、「原作者」を訴えた事件のサンケイニュース記事に、僕のコメントが載ってました。

〈業界に詳しいコラムニストの夏目房之介氏は「漫画界には契約書を交わす慣習が少なく、
原作者と漫画家の仕事の分担もあいまい。それでも著作権料は折半が多く、漫画家が怒るのも 無理はないかも。しかし、漫画家はおとなしい人が多く、裁判沙汰(さた)になるというのは よほどのことだ」と話している。 〉

僕は基本的に、よほどでないとコメントはしないので、これは勝手に出されたコメント記事です。内容的には、〈それでも著作権料は折半が多く、漫画家が怒るのも 無理はないかも。〉の部分は、僕は言ってないはずで、僕の話を受けての記者の創作ではないかと思います。

昨夜、ある打ち合わせをしている最中に電話があり「サンケイ新聞の○○ですが」と名乗り、「ちょっとお話を伺いたいんですが」というので「どういうことですか?」と聞くと、くだんの事件の話でした。この事件、初耳だった僕は、もちろんその現場を知らないし、「原作」といっても力関係やそれぞれの条件で色々なパターンがあるので、こういいうことが起きてもおかしくはないが、ふつうは編集者が間にいるわけで、その管理能力の問題があるんじゃないですか、でもこのテの事情は「藪の中」ですよね、というような話をし、相手は「わかりました」といって電話を切りました。一般的な参考意見(そういう場合もあるので)を聞かれたと思って、つい確認を怠ったのは僕なので(もっとも、相手もコメント記事の取材であることは、一言もいいませんでしたが)、別に怒っているわけではないんですが、自分の言ってないことは一応訂正しておく必要があると思い、ここに書いておきます。

コメント記事、とくに新聞のそれは、こういう「言ってないよな」ってのが多く(というか、ふつうで)、自分の発言部分をチェックしたいというと検閲の問題があるのでできないといわれるので、基本的に僕はやらないでいます。今回、コメントだといわれなかったので確認を怠ったんですね。忙しくて疲れてくると、どうしてもメンドーになります。最初にコメントはしません、といっておけばよかったんだけども。
マスコミって、僕も長くいますけど、ふつうの人が思うほどちゃんとした社会じゃなくて、かなり「いい加減」だし、ルーズです。新聞ももちろん(ある意味、とくに)。僕自身も、そういう習慣の中で仕事をしてきたので、繰り返しますが責める気持ちはないんです。フリーの人間は、そういう中で自己防衛を身につけて生きてきてるんだしね。
でも、最近やたらと僕の「影響力」なるものを言われるので(そんなたいしたものがあるとは本人思えないけど)、一応お断りしとこうかな、ということでした。

なげ~。

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