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夏目房之介の「で?」

日本マンガ学会(松山 「手塚治虫再考」

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夜話終了後、へろへろのまま手塚関係の本のコピーをとり、それを途中まで読んだところで、もはや当日。
6月21日(土)
午前中の飛行機で昼過ぎに松山着。機内でコピーや本を読もうとするも爆睡。松山大学の会場に到着。すでに発表は進んでおり、二人目の発表中に参加。早くも大幅に時間超過しているようで(学会などではよく目にするが、いい習慣ではないと思う)、後に発表する人ほどかわいそうだった。もっとも、高校生の発表じゃないんだから、と思うものもあり、それに対し怒りの質問もあったが、それでかえって時間が延びるので、司会者がさっさと仕切ったほうがよかったんじゃないかとさえ思う。まぁ、そうもいかんか。
休憩後、ジャクリーヌ・ベルントさんの司会によるラウンドテーブルだったが、これも時間がないので、基本的に短い発表がそれぞれ行われただけだった。が、面白い発表も多かった。

専修大・押山美知子氏の「『リボンの騎士』における”少女マンガ”の型」 松下井知夫作品との比較」は興味深かったし(松下版少女マンガは初見だった。松本かつぢのもやってくれないかな)、東北大・岩下朋世(男性である)氏の「『ナスビ女王』と『エンゼルの丘』にみる『登場人物の同一性』と物語の構成」の問題提起は、非常に面白く聞いた。ジェンダー論の一種の「流行」に対しマンガ論として正面から行こうとする姿勢に共感をもった。横国大博士課程・竹内美保氏「今日の若者と『リボンの騎士』 美術教育の現場からの一考察」も、リメイク版『サファイア』との比較など、今後の研究を期待させてくれる発表だった。いずれも質疑がないのが残念だった。

総会は、うちのゼミ生とばっくれてお茶し、6時からの松山大内懇親会パーティ会場へ。来年、僕のゼミを受けたいという人とか、呉さんのお知り合いで考古学をやっている方と古代南中国の文明と日本の関係についてお話を伺ったり、あれやこれやしているうちにお開き。一同、市内のホテルに移動し、チェックイン後、広間に集合。まるで披露宴のような丸テーブルが6つほどあり、それぞれに「有名人」とテーマが与えられ、若い人などが選んで座る形式。面白い企画だけど、テーマがなくて、ただ僕が座っているテーブルなどは、一体どんな話をすればいいのかわからず、やや迷走気味だった。最後のほうで宮本君やつくば大の笹本さんがきてくれて、少し盛り上がった。
と思ったら、もう12時前で解散。僕は、ただでさえ眠いので、さっさと自室に引き上げる。残ったコピーを少し読んで寝る。

6月22日(日)
朝8時におき、フロを浴びてホテル前の駐車場で練習後、朝食。
9時にロビー集合で会場へ移動。
10時から宮本大人氏司会で竹内オサム氏、中野晴行氏とシンポ「手塚治虫 再考」。まずまず、何とかまとまったかな、というデキ。そもそも、この時間で、このメンツで、まとまる話にするのは難しかろう。そのわりに面白かった。とくに中野さんのレアな写真攻勢、竹内さんの修士論文の頃の図版や、中野さんが持ってきた竹内さんのマンガなど、学会というより、フツーのトークとして面白くなっていたかも。僕は何一つ準備できなかったが、会場はそれなりに面白がっていたように感じたので、まあいいかな(よかないか)。

昼食後、もう一つのシンポ「手塚治虫の現在」。こちらは座長・小野耕世氏に、伊藤剛氏、手塚プロ・古徳稔氏、マンガ家・田中圭一氏。知ってる人なら、もうこれは冷や汗ものの顔ぶれで、僕もどうなることかと思って聞いていたが、田中氏が絵を描き始めると会場いきなり寄席風の盛り上がり。さらに、最後になって古徳氏と田中氏の丁々発止のやりとりは、できたら二人でコンビ組んで回ったらいいんじゃないかと思うほど面白かった。手塚プロの大人の対応に感謝!という場面であった。詳しくは書かないけど(笑

終了後、さて飛行機の時間までまだ間がある。うろうろするうちに、結局学会の打ち上げに顔を出すことにして、市内の飲み屋へ。やっと、呉さんや村上さんなど、いつもの面々で落ち着いて話をし、盛り上がってきたところで空港へ。少し遅れた飛行機に乗って東京に帰ったのが午後9時。腹へって大崎でカレー食って、ようやくシンドかった山場を終えたのでありました。

いやー、よく生きてたよな。お疲れ~。
さて、大学の準備をしなくちゃ(泣

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