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夏目房之介の「で?」

「MELODY」4月号(白泉社)

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めずらしく少女マンガ系の雑誌を取り上げます。いつも送ってもらってるので、お礼の意味もありますが、この号は面白い。対象年齢はどのくらいなんだろう。少女マンガ誌というには高い気がするし、女性マンガ誌というほど高いかどうか、ちょっと判断しかねるけど。
4月号には、何せご贔屓のよしながふみ『大奥』第15回53pが載り、これまた面白い清水玲子『秘密』84pが巻頭カラーで、能楽師を描いた成田美名子『花よりも花の如く』第23回、川原泉『コメットさんにも華がある』など、僕がいつも読む連載が全部載っている上、ウッドハウス原作・勝田文『プリーズ、ジーヴス』という読みきりも面白かったのだった。

いずれもおすすめだが、死体の脳から記憶を映像化再現するシステムを使う特殊な警察組織を描くミステリー『秘密』は、これまでも相当面白かったのだが、今やってる回はかなり気合が入っている。興味のある方は単行本を読まれるといいだろう。
もちろん『大奥』は、次第に当初の「男女をただひっくり返してみた」という面白さを越えつつあり、いよいよ歴史の領域でよしながの本領発揮かと思わせるものがある。
『プリーズ・ジーヴス』は、あおりに「お気楽主人と有能執事のおまぬけコメディ」とあって、何となく好みな感じがしたので読んだのだが、当たり。原作は英国のユーモア作家の小説シリーズであるらしい。勝田は、のんびり飄々とした雰囲気が味で、よく合っている。僕もジーブスのような執事(正確には従者)がほしい。楽しそうだ。何となく大好きな坂田靖子の世界を思い出した。

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