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夏目房之介の「で?」

毎日新聞「マンガの居場所」連載終了

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宮本君のブログで書かれていて、→ http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/
「そうそう、そのことも書いといたほうがいいんだよなー」と気づいたわけですが、「マンガの居場所」連載、昨年一杯で終了しました。タイトルは宮本案で、いいタイトルでしたね。
書きたいことはほぼ宮本君が書いてるので、そちらを読んでもらったほうがいいかも(笑

とはいえ、自分でいいだしっぺの連載なので、それだけじゃあんまりだね、やっぱ。
このコラムは、マンガ時評的なエッセイの週間連載依頼があったとき、もともとトレンドに弱い僕一人ではシンドいので、当時まだマスコミ的にまったく無名だった宮本大人君、瓜生吉則君、それに香港で日本マンガ翻訳の仕事をしていた鈴賀れにさんにお願いして、4人持ち回りの毎週連載で1998年に始めたもんです。
途中鈴賀さんからヤマダトモコさんにバトンタッチ。さらにNTT出版から『マンガの居場所』として単行本化した頃に、月1回連載にシフト。結局、9年間続いた長期マンガ時評新聞連載になったわけです。他の連載企画が常に後を狙って押し合いへし合いしてる新聞の中でこれだけ続くってことは、やっぱりいい連載で人気もあったんだと思うな。
それなりの役割は果たしたし、他の書き手にも助けられ、楽しくできたし、僕の人を見る眼もそれなりに証明された連載だったので、心残りはないです。
だいたい商業媒体でほとんど書いたことのない人たちだったけど、僕はできると踏んだし、実際こちらの予想以上に書いてくれた。新聞で、あの長さのエッセイってのは、じつは相当難しい。長い論文とかエッセイなんかより文章の実力がいるんですね。そういう意味でも、よかったんじゃないかな、と。
単行本を読むと、今後マンガ研究で先端的にやられていくだろう、あるいはやられるべきだろう諸問題が幅広くとりあげられていて、凡百の時評とは違うアクティブな連載だったと自負します。ここ十年のマンガを巡る状況の、ひじょうに貴重な記録となった連載だといえるでしょう。

宮本君も同じこと書いてますが、僕も今年は大学の先生に本格的になるという仕切りなおしの年なので、いい潮時かなと思います。
執筆者たちと、この連載を始めてくれた前担当者、及び現担当者、及び長く支持してくれた読者の方々に感謝します。ありがとう。

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