オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

魔裟斗,現役は続行

»

コメントでふるきちさんがURLを知らせてくれた日刊スポーツの記事

http://www.nikkansports.com/battle/p-bt-tp0-20071004-265268.html

いい記事だと思う。エッグのパーティでもシモさんが話してたし、ほかの人ともカウンターで話したことがあるけど、魔裟斗の戦いはみんなこの記事みたいな感じで観てたんだな、と思う。そういう意味では、彼はきちんと自分の戦いと思いを伝えられたんだ。いい選手だし、しあわせな選手かもしれない。

1デイ・トーナメントで三試合は、やっぱりしんどいし、今の日本人であそこまでできるのは魔裟斗だったろう。色々いわれるけど、僕は武蔵も同じように頑張ったと思う。あれがぎりぎりだった。その場所で、よくあそこまで持続した。

記事の一部。

〈自分の戦いに納得した魔裟斗は記者会見に直行した。「もうトーナメントは出たくない。もういい。でも悔いはない」と、にこやかに切り出した。
 決勝大会は1日に3試合をこなす。28歳の魔裟斗には肉体的に限界だった。ブアカーオ、サワーら伸び盛りのファイターと、トーナメントでギリギリのせめぎ合いができるのは、今年がラストチャンスだった。予感していたからこそ、初戦の相手に王者ブアカーオを熱望した。
 6月末「ブアカーオと戦う。挑戦者のオレが言えば王者は逃げられない」と言った。[略]

 これからはビッグマッチだけに集中する。「大みそかに試合するって、さっき谷川さんと約束しちゃった。元気なら大みそかにアンディ(サワー)と戦ってもいい」。そして念を押した。「引退はしないよ。いぶし銀な男を目指すよ」。ブアカーオを破り、決勝でサワーを倒すドラマを描いた。かなわず華々しく散ったが、ミスターMAXの姿をリングに、記憶に刻み付ける戦い方だった。【井上真】〉 日刊スポーツ 07年10月4日

魔裟斗の発言は、現在の自分と練習で高められる部分を冷静に感じた上でのクレバーな判断だと思う。記者の書き方も、ふつうの記事の文体なんだけど、そこはかとなく共感と「よくやった」という拍手の気持ちが伝わる感じがした。
サワーも、ブアカーオも立派だったしね。いい試合をして、いい感じで納得できたんだとすれば、それはしあわせなことだよね。体はボロボロかもしれないけど。K-1MAXは、そういう意味では今いちばんいい状態なのかもしれない。これから、しばらく日本人の手に届かない争いになるのかな、と思うと、観客としては寂しいけどね。

余談だけど、僕もそうだし、多分日本のファンは、たとえ魔裟斗や武蔵の敵だろうと、それが反則とかきれいじゃない戦いでないかぎりブーイングする気にはならないと思う。ときには、声援だって送る。先日の韓国での試合では、チェ・ホンマンと戦ったマイティ・モーにブーイングが起きた。どういう報道がなされていたのかわからないけど、あれは僕には理解できない。日本人は、少なくともスポーツ・格闘技観戦を見るかぎり、けっこう公平な気がするけど、どうなんだろう。
でも、じっさいはそういうことをする地域の人のほうが、格闘技は強いのかもしれないな(サッカーもそうかな)。韓国の選手は、ほんとに気持ちが強いもんなー。タイのムエタイ選手と同じで、完全に破壊するか、意識飛ばして倒さないと絶対起きてくる。目がほとんど見えなくても闘う。あの執拗さは、日本選手にはない。淡白なんだよね。でも、そういうスタイルで行くほうがいいと僕などは思うけど。

Comment(2)