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夏目房之介の「で?」

しつこいけど、みなもと先生40周年の二次会

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さてと、新宿の飲み屋で繰り広げられた朝までの二次会。
まずは、畑中さん、細萱氏、小田切氏と歓談し、次に到着した斎藤宣彦、Y田両氏と今企画中の「すごく面白い名作」(Y田いわく)の話など(ただ、Y田の話はけっこうフタをあけてみると「あんたの話がいちばん面白かった」といわれたりするのだが)。

席を移動し、村上知彦氏とちょっと懐かし話。ヨネやんと初めて会ったのがいつなのか、全然思い出せないという話をし、村上氏が『黄昏通信』を出したとき感動して手紙を出した話、その後初めて会ったとき、渋谷のジャズ喫茶のトレイに「月光仮面参上!」のいたずら書きをしたのは村上さんじゃないかという話をしたということとかから始まり、村上さんは育ちがいいので先行世代のマンガ論に反撥し批判したときに、名指しにできなかったので、今の人が読むと一体誰が仮想敵なのかわからないという話などをする。

次に、とり・みき、ベルさんの席に移動し、ナゼか、山本夜羽音氏の「メガネ萌え」話で盛り上がる。おもに話題は、マンガにおけるメガネ描写はいかなる歴史をたどったか、その男女差はどうであったか、いつ、いかにしてメガネ萌えが一般化したのか、など。
ちなみに、夜羽音氏の紹介しれくれたメガネ萌えのサイトはこちら→「めがねがね
http://www.meganegane.com/kotoba.html

夜羽音氏やとり氏によると、メガネはかつてガリ勉・不細工の記号であり、それを取ったら意外や可愛いという少女マンガのパターンとなり、一種の変装だった(クラーク・ケント→スーパーマン)。逆に言えば、女性にとってメガネはできるだけかけたくない、親もかけさせたくないもので、目が悪くても我慢したほうがいいものだった。それは「見られる存在」だった女性存在に規定されていたが、やがてウーマンリブなどによって主体化する女性の観点から「メガネをかける女性」が現れる。また、メガネに萌える感性がオタク共同体の密やかなものから一般化するのは大体2000年前後ではないか、というような話であった。
この話を、元の席に戻って報告していたら、そこにいたみなもとさんが「少女マンガの、メガネとったらじつはかわいいパターンは、アメリカのB級映画にたくさんあったんです、その影響じゃないかな」と指摘。僕は再び、とりさんなどの席に戻って報告。
その後、高信太郎さんがやってきて、すでにかなり酔っていたので不安を感じたが、案の定で逃げどきをさぐっていた。が、川本コオさんを紹介され(前にも紹介されたような気がするが、やっぱり酔ってたしな)、コオさんが僕をどうやら漱石本人と勘違いしているようなので「あの、すいません、孫です。その人は祖父です」と何度かいわねばならなかった。
そこからやっと逃れて、今度は漫史研のいつもの人々のいる場所にまざり、斉藤君の悪口を彼の横でしゃべり、対面にいた小田切君に二冊目の本を書かせる煽動をし(でも、宮本君は何はともあれ論文を仕上げ本を出すのが第一命題だろうって点では意見が一致)、何か話したのだが、そろそろ僕の記憶もあやしくなって、テキトーに帰ったのであった。

帰るときベルさんに挨拶し、いつもこういう場面で必ず一緒だったヨネやんがいないのが、やっぱり寂しいよねって話し合った。
以下余談。
ヨネやんの追悼本にのっていた僕とヨネやんの写真は、二人ともものすごく若くて、80年代初期だと思うけど、一体どんな状況だったのか全然思い出せない。
僕は個人的にヨネやんと一緒に遊んだりはしてないし、それほど親密なわけではなかったけど、多分、お互いにどこかマンガについてやっていることを何となくとはいえ、よくわかっていて、それについてはお互い何もいわなくていいような気がしていたような印象がある。僕は彼のコミケや批評の仕事が彼にしかできないものだったし、そのありようを尊敬もしていたので、一度だけ対談のときに「あんまりいわないけど、俺は尊敬してるんだよ」と伝えたことがある。それで僕には十分だったし、他の誰が何をいおうと、俺はそう思ってると伝えたつもりだった。それをいえたことが、急に逝った「マンガを愛する仲間」について、せめてもの慰めになってる。これ以上のことは、もういうべきこともあまりないし、いいたくないってとこもある。

みなもとさんは、わざわざ手を握り、飲み屋のドアまで見送ってくれた。

ちなみに長谷さんの日記などにも記述があります。

http://d.hatena.ne.jp/nagatani/ 長谷邦夫の日記

http://uorya0.exblog.jp/7486274/ 血染めの鉄槌

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20070925/1190649065 伊藤剛 トカトントニズム

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