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夏目房之介の「で?」

日本心理学会ワークショップ

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19日は、昼から東洋大学で日本心理学会の「マンガ心理学」のワークショップに参加。1時半~3時の間に、企画者の趣旨説明、発表、社会学系の発表、僕の発表(各30分といわれてたのが20分弱だった)、さらに指定討論とかで二名各々話し、さらに会場との質疑・・・・なんてできるわけないじゃん。何か、コマ落としみたいに次々こなすのが精一杯のワークショップだった。来てた人は多かったけど、あれは消化不良じゃないかなー。若手研究者の場にするなら、最初の二つの発表だけで、あとはそれに対する僕や中澤さんの意見を数分はさみ、会場討議にしたほうがよかったんじゃないかなー。それに「マンガ心理学」の思いつきは、まだ思いつきの域を出てない。もう少し経験をつんだほうがいいのはたしか。

社会学系の発表は、色々面白そうな話題はあったが、あきらかに一時間くらいかかる内容で、残念ながら消化できなかった。聞きたいこともあったが、そういう感じではなかったな。部外者なので、一体どういう場なのか、わからんし、とりあえず静かにしていた。「そうかぁ、来年からこういう若い人を相手に仕事をするんだなー」とか、ぼんやり思いながら。

ひさしぶりに千葉大の中澤潤先生とお会いし、楽しかった。やはり同世代でマンガ好きって、無条件に話し通じるからねー。
その後、甲野善紀さんと竹田青嗣さんの出る創発に関するワークショップに参加。こちらも若手の企画者グループによるもので、やや消化不良だったが、竹田さんの話しと、同じ早稲田のい池田清彦さんの話は面白かった。甲野さんは例によって、途中で立ち上がり、人を壇上に上げて実演していた。

僕らのワークショップには、すがやみつるさんがいらして、夜、打ち上げにきてくれた。「近くで仕事をしてました」と例によって飄々といわれる。コミックガンボで復活した『あらし』は、僕の本を二冊出した元イーストプレスのY田君の企画だったらしい。Y田君は、今ガンボの編集なのだ。
打ち上げでは、やはり例によってすがやさんの知識の広さと、フォレスト・バンプみたいな経験の多様さに、全員がひっくり返る。子供時代のマンガ体験から始まり、石森章太郎のアシ時代、編プロでマガジンの現場などにいた70年ごろの話など、若い人たちには、いい刺激になったんじゃないかな。こんな人が「娘が大学出たから」といって、大学生やってるんだから、すごい。戦記モノ、貸本、付録・・・・50~60~70年代の話が、すがやさん中心に中澤さん、僕とでもりあがる。ん~、若手には迷惑だったりして(笑 
僕が勤めていた出版社エルム(たしか76年倒産)の話まで出た。すがやさんの知り合いの人たちがエルム版元の仕事で編集プロダクション経由で仕事をして、原稿入れたあとに倒産したんだとか。すいません、僕のせいで倒産したんじゃないんですけどね。いや、しかし楽しい晩でした。

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