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夏目房之介の「で?」

『SASUKE』と八卦掌

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TVづいてますが、観てしまった。何か、難度上がってるなぁ。別にずっと観てるわけじゃないけどさ。うっかりチャンネル回してやってると、ずるずる観ちゃうんだよね、この番組。
結局、

最後の第3ステージに4人残って誰もクリアできず。19歳の男の子は凄い運動能力だったけど、指だけでぶるさがって横に移動し、三つのでっぱりをクリアするところで、ぎりぎり右手だけかけて左手の移動に失敗して落ちた。
それより先に落ちた一人をのぞけば、残り二人もまったく同じ場所で落ちた。
そりゃそうだろう。指先しかかからないでっぱりに両手でぶらさがりつつ、170センチ台の男性がやっと両手広げてつかまれる距離の次のでっぱりに移るのだ。
ただ、162センチのサスケ・オールスターズの一人は、体ごと飛んでつかまった。左手で別の場所をつかんだので失格になってしまった。

いや、まぁ、そういう経緯よりも、何をいいたかったかというと「体のまとまり」っていうことなんだね。運動能力でクリアしようとする人は、上半身の筋力でぶるさがり、つかまり、下半身の揺れの反動を使って移動し、下半身、とくに両足をふることでバランスをとろうとしていた。
ところが、その漁師をやっているというサスケ・オールスターズの一人は、少し違った。たしかに上半身の筋肉はハンパじゃないんだけど、上の動きに対して下半身の揺れが少ない。足をばらばらに振ってバランスをとったりはせず、下半身が一つにまとまってついていっているのだ。この人の「強さ」と「安定感」は、ここにある。これを観てると、下半身が「まとまる」っていうことが、じっさいの運動でいかに重要で、安定性とムダのなさを作るかってのがわかる気がした。

で、つまりそういう「体のまとまり」っていうことを、馬貴派八卦掌でよくいわれるわけ。
じつは、その感覚は八卦掌練習の中では、まだなかなか実感できていない。ただ、今の僕の走圏の課題のひとつは、まちがいなく下半身のまとまりを強化することで、じっさい足を運ぶときに遊びというか、揺れができて、力のまとまりが逃げてしまうところが問題なんである。
サスケを観ていて、そういう部分が見えたってことは、多少なりとそういう課題が身体化されつつあるってことなのかな、と思った次第でした。課題とするってことは、すでに現実的な条件ができているってことで、つまり「見える目」ができるってことなのかもしれない。

ちなみに、一時期の走圏の違和感、うまく腰の充実が作れないって問題は、ようやく少しづつ感じが戻ってきてます。

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