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夏目房之介の「で?」

書評連載と竹中ナミさん

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大同生命広報誌「One hour」に「夏目房之介の書棚」という書評連載をしてる。05年4月号からなんで、もう2年になる(参考までに過去の紹介本→註1)。
その1月号で、以前「ITセレクト」誌で取材した竹中ナミさんの『ラッキーウーマン』(飛鳥新社)を紹介した。
竹中さんは、ものすごぉ~い人生を送ってきた、むっちゃくちゃに元気でポジティブな「関西のおばはん」で、会うとすぐ仲良くなり、元気が感染するタイプの人だった。ずいぶん多くの取材をしたけど取材後にカラオケまで一緒にいったのは竹中さんだけだ。でも、彼女はそうよばれると怒る。「ナミねぇ」とよんでくれという。よんでるうちに、すぐ慣れるから、と。正直、そういうの苦手な僕ですが、仕事だし機嫌損ねるのも取材上いけないしっていうのでよんでたら、本当になれてしまった(笑)。
というわけで、ナミねぇは波乱万丈の人生の途中で重度脳障害の娘をもち、そこから八面六臂の活躍でパソコン、ITを使った障害者(ナミねぇは「チャレンジド」とよぶ)の自立支援を始め、社会福祉法人プロップステーションを立ち上げ・・・・まぁ詳しくは彼女の著書『ラッキーウーマン』を読んでいただけばいいのだが、そういう人なのだった。ちなみに、この本はほんとに面白い。
で、話はここからだ、お立会い。
そのナミねぇから、突然メールがきたんである。
〈飛鳥新社の営業のお姉さんから「急にラッキーウーマンの注文が相次いでるけど、きっとこの書評のおかげと思います、嬉しいです!」って「大同生命」の冊子のコピーがFAXで届きました。 わぁっ!! 夏目さんや!〉
おいおい、ホントかなぁ。ホントだとすれば、僕も嬉しい。だけど、最初の一年は基本的にビジネス系の本の紹介で、担当者によると今まで一番手ごたえのあったのが鹿島茂『快帝ナポレオンⅢ世 第二帝政全史』だったという(全然ビジネス書じゃないじゃん・笑)連載である。ふ~む。面白いもんである。

そのナミねぇが、続けてこんなメールをくれた。
〈2月13-14日、厚生労働省19Fのパソコン・セミナールームにおいて、「在宅で働くチャレンジドが講師を努め、官僚・企業人等が受講生」という画期的なITセミナーを、遠隔教育システム(TV会議システム)を使って開催することになりました。〉
なるほど。そのうちブログで紹介して・・・・とか思って、この文章を書き始め、でもばたばたしてて、あらためて「さて」と思ったら、とっくに終わっていたんでした。ごめん、ナミねぇ。おわびにブログに告知しときます。ナミねぇの送ってくれた報道(註2)。遅い、っつの。

註1
05年04月号 宋文洲『ニッポン型上司が会社を滅ぼす!』サンマーク出版
  05月号 中野晴行『マンガ産業論』筑摩書房
  06月号 岡本薫『著作権の考え方』岩波新書
  07月号 鹿島茂『快帝ナポレオンⅢ世 第二帝政全史』講談社
  08月号 竹田青嗣・西 研『よみがえれ、哲学』NHKブックス
  09月号 木村剛『戦略経営の発想法』ダイアモンド社
  10月号 藤田晋『渋谷ではたらく社長の告白』アメーバブックス
  11月号 半藤一利『それからの海舟』筑摩書房
  12月号 鈴木孝夫『ことばと文化』岩波新書
06年01月号 常松洋『世界史リブレット 大衆消費社会の登場』山川出版
  02月号 見田宗介『現代社会の理論』岩波新書
  03月号 週刊朝日『戦後値段史年表』朝日文庫
  04月号 マイク・モラスキー『戦後日本のジャズ文化』青土社
  05月号 北康利『白洲次郎 占領を背負った男』講談社
  06月号 四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書
  07月号 王敏『ほんとうは日本人に憧れる中国人』PHP新書
  08月号 藤沢久美『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』ダイヤモンド社
  09月号 石川九楊『一日一書』二玄社
  10月号 甲野善紀・田中聡『身体から革命を起こす』新潮社
  11月号 小林信彦『うらなり』文芸春秋
  12月号 堀淵清治『萌えるアメリカ』日経BP社
07年01月号 竹中ナミ『ラッキーウーマン』飛鳥新社

註2
障害者の就労促進でIT教室
Copyright 1995-2007 NHK

IT技術を活用することで障害のある人たちの就職を進めていこうと、自宅にいる障害者がテレビ電話で講師を務めるパソコン教室が、13日、厚生労働省で開かれました。
このパソコン教室は、離れたところへの移動や長時間の仕事が難しい障害者の就職を支援しようと、厚生労働省と神戸市の社会福祉法人が初めて開きました。
パソコンの操作に詳しい2人の障害者が講師を務め、仙台市と京都市にあるそれぞれの自宅と厚生労働省をインターネットで結び、生徒役の10人にパソコンを使ったスライドの作り方を教えました。
会場のスクリーンには、講師の顔とパソコン画面がテレビ電話で映し出され、生徒のパソコン操作は講師が確認できる仕組みです。
生徒たちは、遠く離れたところにいる講師の手ほどきを受けながらスライドを完成させていました。
障害者が講師を務めることや、講習を受けて技能を高めることで就職の機会が増えると期待され、主催者側ではこの取り組みをどのように広めていくか検討することにしています。
厚生労働省は、今年度から障害者を支援する新たな取り組みに補助金を出す事業を始め、社会福祉法人や企業に積極的に利用してほしいと呼びかけています。

[2007年2月13日(火)]http://www.nhk.or.jp/nhkvnet/f-news/f-main.html

社会福祉法人プロップ・ステーション
http://www.prop.or.jp

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