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夏目房之介の「で?」

映画『ユメ十夜』試写

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映画『ユメ十夜』の試写会にいってきた。全体としては、まぁまぁ面白いんじゃないかな。内容が内容だけにかなり好みに左右されるだろうから「お好みなら観てみたらいかがでしょう?」っていう感じだけど。
何しろ「夢」を描いた10作の作品を、それぞれ違う監督が映画化したオムニバスなのだ。観る前から「個性も10作並ぶと平らに感じちゃうんじゃないかな。よほどちゃんとプロデュースで介入しないと案外退屈でまとまりなくなる可能性があるな」なんて思っていた。まぁ、それほどひどくなかったので「まぁまぁ」という評価。
ただし松尾スズキ監督の第六夜は面白い。図抜けて面白い。おおいに受けた。
まず、

他の作品のほとんどが原作を思い出せないような感じの作りになっており、インスパイアされてこうなりましたって風である。原作を何となく思い出したのは、多分数作。別にそれでもいいんだけど、ほとんどがそうだと逆に「驚き」はないな。
ま、予想通りつか、それぞれはそれなりのデキだったりもするんだけど、何せ10本並んで、みんなけっこうしんねりムッツリ作っちゃってるもんだから、似たような印象になっちゃうのね。つうわけで僕としては唯一「お笑い」にできた松尾スズキが図抜けてよかった、って印象になっちゃった。あと、原作とはだいぶ違う「お下品」な(何せ脚本が漫☆画太郎!)10夜(山口雄大監督)ね。どうも、若い人にもこの2作の評判がよかったらしい。それに第3夜(清水崇監督)は、『呪怨』の監督らしく、ちゃんとホラー味になってて、楽しめた。
ちなみに松尾スズキ監督の6夜は、話は原作どおりなのに、映画はまるで違う作り。運慶が仁王を彫るという話で、TOZAWAを使った時点で一人勝ち決定。TOZAWAは最近ファンになったアニメーション・ダンサー。これは見もの。第3夜は例の自分の子供を背負って歩く男の話。10夜は豚が出てくる話。
・・・・などと、色々書いたけども、最初に書いたように全体としちゃ面白いといっていいんじゃないかな。

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