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夏目房之介の「で?」

サイト画面が読みズラい

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 「新しいサイト、なんだか読みづらいですね~。
レイアウトの関係なんだけど、なにやらごちゃごちゃ小さくて・・・
もちっと読みやすい風にならんのでしょうかねー。」

 というご意見がありました。僕も、じつはそう思います。
 ITデジタルの技術者方面だと、どうしてもこうなっちゃうんでしょうね。やはり

出版とか、見やすさを追求して蓄積してきた場所からみると素人の作りなんですね。そういう意味で「はてな」はかなりわかりやすくデキてると思います。ミクシはだめですね。でも、そういうのが何十万とか何百万とかアクセス獲得しちゃうので、通常の競争淘汰が機能しないんでしょう。
 サイトのぞいてていつも思いますが、一般的に広告の入れ方がダサくてうるさい。文字のフォント、並び(行間、字間、改行など)、テキスト画面の構成について思慮が足りない。注目させるべきポイントの作り方がどへた(JRの券売機以下)。自分たちがやりやすくて使いやすいのが「読みやすさ」だと思いこんでるところが多分ありますね。
 本当は全然そっち方面じゃない優秀な出版のデザイナーなりを使ってやるべきだと思うんだけどもね。家電とかのデザイナーでもいいかな。そうすると技術的に実現不可能とかいわれるんでしょうね。まだまだ、この世界、ごくふつうの人がストレスなく読めるようになってません。出版にのりだそうとするIT系の会社も多いけど、雑誌の紙面とか表紙も、やっぱりその世界の技術者だけが読めるような組み立てになってることが多いですね。文字が小さくてごちゃごちゃで、それこそ視線誘導の効率とか、考えてないです。見てると。

 以前、ネットを視線追尾装置と視線誘導論で分析した仕事をしましたが、そのときもっともよくできてると思えたのがエロサイトでした(笑)。ただエロサイトの場合、非常に強い視線誘導のモチベーションが前提条件で存在してるので、そのまま普遍化できないとこはありましたけどね。ふつうの企業サイトなんか、ひでーもんでしたね。どこいってナニすればいいのか全然わからん。今は、少しマシかな。その頃と比べるとね。
 ネットバブルが崩壊して6~7年でしょうか。メールがそこそこ普及して、だいぶ一般的なメディアになり、今後も急速に広がるはずですが、そろそろ「何だ、こうすりゃ全然見やすいじゃん」っていう典型が出てきてもいい、と思いますね。技術的に高く、いろんなことができる必要はない。それは今より下げていい。操作しやすく、問題がおきにくく、見やすい。それだけで、相当大きな競争力になる時期にさしかかってる気がします。優秀な技術者ではなく、(IT関係じゃない)優秀な消費者とデザイナーが必要だろう、と。一言でいえば、ネットの家電化でいいんじゃないのかな。家電のデジタル化じゃなくてね。その逆。技術革新を、そのまま反映させず、むしろ抑えて商品開発するくらいの発想でもいいんじゃないすかね。
 以前、ビル・ゲイツだったか、PCだかネットワークが未来を作るんだみたいなバラ色なこといったとき、自動車業界だったか、もし車がPCだったらフリーズはするわ、危なくてしょうがないみたいな揶揄をしたと聞いた記憶があります。そういう感覚を大事にしていただきたいなぁ。あまりにも一般消費者のレベルからいってズサンな商品多い気がするもの。必然的にネットを組み込んでいかざるをえない今後ですから、どおぉーか、ひとつ!

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