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【ソーシャルコマース】Facebookが提供するソーシャルグラフが、未来のECサイトをどう変えるのか

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お世話になっております。
ループス岡村です。

クライアント要望でECサイト関連の調査をしていたところ、興味深い記事を見つけましたので紹介したいと思います。「5 Ways Facebook’s Open Graph Will Impact E-commerce(Mashableの5月8日付記事)」と題されたこの記事は、FacebookのOpen Graph APIに触発されて、ECサイトの未来について以下のような予測を書いています(翻訳はいつも通りいい加減です、ご容赦ください)。

FacebookがE-commerceの世界に与える5つのインパクト

  1. Amazonだけが高度にパーソナライズされた唯一のECサイトではいられなくなるだろう
    Open Graphによって許可のあるだれもがFacebookのAPIを通してあなたのソーシャルグラフにアクセスできるようになるとしたら、そこから得られる情報はオンラインストアの品揃えを顧客の購買履歴や類似性、好みに基づいてパーソナライズすることをずっと容易にするだろう。例えば、当社(Mashable)はすでにFacebookから得た「Like」に基づいて、ホームページの「おすすめ商品」エリアをパーソナライズする方法に取り組んでいる。
  2. いくつかのオンラインストアでは、GoogleよりFacebookの方がより多くのトラフィックを送り込むことになるだろう
    Eコマースの利用者による共有によって、Facebookとの統合が加速する可能性がある。あなたがお気に入りのオンラインストアにFacebookアカウントでログインするとそのサイトは、あなたが商品を買ったり、レビューを書いたり、気に入った商品を「Like(いいねェ)」する度に、あなたのFacebookマイページに自動でその情報を送り、表示することができるようになる。ニールセンの調査に依れば、商品を選択する基準として90%の人々が友人・知人の口コミを信頼する、としている。店舗にとって、Facebookの「Like(いいねェ)」ボタンは友達に商品を勧める手段としては完璧なツールと言える。
  3. Google は Facebook の Open Graph プロトコルを取り入れるだろう
    あなたのサイトが他の誰よりも多くのユーザーを獲得していて、プラットフォームをオープンにする時、他の競合は遅かれ早かれ追従しようとするだろう。私は、じきにGoogleの検索結果が Open Graph protocol から取得したあなたのデータに基づいて最適化された情報を表示し始めると予測している。例えば、あなたがコメディ映画を検索していて、IMDb(The Internet Movie Database:Amazonが提供する映画データサイト)でオースティン・パワーズ、Swingers、The Love Guru、Wayne's Worldをお気に入り登録している場合、Googleはあなた特有の検索結果を表示するためにOpen Graphのデータを利用するだろう。
  4. Open Graph は Facebook Credits の基礎となり、その成長を支えるだろう
    もし、オンライン上の全てのWEBサイトでもFacebook Creditsを使用して買い物をすることができたらどうなるだろう?現在Pay Palが実現しているのと同様に、あなたは自分のクレジットカードの詳細を共有する必要はなくて、オンラインでの全てのクレジット決済を簡単に済ませることができる。Pay Palのような会社はこのような事態を危惧している。Facebook Creditsは、現在バーチャルグッズの決済にだけ人気があるが、Facebookの開発者がFacebookを通して課金を容易にする仕組みを提供するのは時間の問題だろう。
  5. ECサイトのCRV(コンバージョンレート)は増加するだろう
    例えば、あなたがオンラインで家電を買おうか迷っていて、「カートに入れる」ボタンのすぐ横にある「このユーザーも買っています」欄に友人が4人も(しかも顔写真付きで)いたらどうだろう。この類の広告の価値はお金以上の価値がある。その広告はそのWEBサイトに対して、一瞬で社会的信用を与える威力があるのだ。Facebookユーザーが平均200人の友達関係を持っていることを考えると、社会的信用力を応用した新しい推奨システムとそれを簡便に誘発する「Like(いいねェ)」ボタンは非常に大きな役割を果たす。

世の中には 「ソーシャルは金にならない」 という風潮がありますが、ECサイトが絡むと急にマネタイズが現実的に感じられるから不思議です。

ただ、上記のスキームでは Facebook の一人勝ちになってしまい、他のソーシャルプラットフォーム(を目指す)陣営があまりおもしろくないようにも感じます。このスキームが邪悪だ云々については世界中で議論が繰り広げられていますのでこのブログではスルーいたしまして、実際に Facebook 上で Open Graph を活用したECサイトを手軽に構築できるソリューションを簡単に紹介させていただきます。

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例えばBigCommerce

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Bigcmmerceはテキサス州にある従業員50名程度の会社です。
SaaS型のECサイトを提供しており、その利用者は全世界で4000社に上ります。
尚、本項の説明は主にBigcommerceのサイトに依ります。
より詳細で確実な情報が必要な場合は有償で調査も可能ですのでご連絡ください。
(ちなみに私の場合人日単価7万円で承っております : - )

ECサイトとしての特徴としては以下のようになっています。

  • 初期費用なし、月額$24.95からスタートできる
    スタッフ数、商品点数、回線の帯域、ストレージなどに制限あり。もっともリッチなオプションは月額$299.95。GoogleAdwordの広告が出せるクレジット付き。
  • 15日間試用可能
    トップページから30秒で登録可能。クレジットカード登録なしで15日間管理画面が試用できる。
  • 面倒な他システムとの連携をフォロー
    50種類以上の決済手段が用意されており、自由に組み合わせることができる。
  • 集客の必要なしに1000人以上の見込み客にリーチできる
    集客に効果的な10以上のマーケティングツールが利用可能。Facebook上でのセールスツールやSEOツール、Googleのアプリケーションへのデータエクスポートなどをサポートしている。
  • デザインがカスタマイズ可能
    60種類のテンプレートがある他、ドラッグアンドドロップで編集できるツールも用意。FTPでの転送もサポートしているので必要に応じてフルカスタマイズ可能。
  • トランザクションフリー
    一般的なECのASPでは売上やトランザクションに応じて利用料金が上がっていく場合が多いが、Bigcommerceはそういった課金体系は取っていない。

Facebook上でのオンラインサイト(SocialShop)はTechcrunch で紹介されています。

物販オンラインショップがFacebookのいたるところに出現し始め、ソーシャ ルネットワークが急速に仮想ショッピングモール化しつつある。 (中略) SocialShopと呼ばれるそのアプリケーションを使うと、売り手は商品をFacebookページ上に展示することができる。ページにアプリケーショ ンを追加したら、店のURLを入力し、表示したい商品を選ぶだけでよい。この店舗プラットホームはそのページの「Shop Now」タブに表示されるようになり、訪れたユーザーは商品を友達に知らせることができる。

Bigcommerce1

2010年3月25日記事 「BigCommerce、 Facebookでオンライン店舗をソーシャル化」より

登録だけならクレジットカードもいらず、一瞬でできます。管理画面を紹介すると記事が膨大になりそうですので、ビジュアル的に面白いと思われるデザインのテンプレート選択画面をキャプチャしました。なかなか素敵なデザインではないでしょうか。

Bigcommerce_control_panel_15_day_fr

初期費用なし、月額約$25。在庫管理もGoogleスプレッドシートで可能。

さあ、街角のタバコ屋さんでさえその気になればイーコマースで商売ができる時代になって参りました。人間関係(ソーシャルグラフ)が重要という意味で言えば、無機質な大規模ECサイトより、売っている人の顔が見える超小規模サイトの方にアドバンテージがある場合も出てきかねません。

昨今ソーシャルメディアを使ったセルフブランディングが叫ばれているせいか、人間関係がネット上に移ってから、それまでより自分の発言や立ち居振る舞いに気を使うようになったという話をたまに耳にします。ネット上で可視化されることにより、身の周りにある社会との依存関係、帰属意識がひところより強まったと見てよいのでしょうか。時間と距離を超え、人と人とが結びつく今の時代は、インターネットという手段を使って本来人間が備えていた社会性が復古する原点回帰の時代なのかも知れません。

それでは、よろしくお願いいたします。

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