Pinterestに関るたった1枚のインフォグラフィックが教えてくれた事(1/2)
作成者:中山陽平
やや、なりを潜めつつあるPinterestの話題。
ユーザ数が激増したといっても、Twitterに比べれば1日の訪問者も10分の1強、さらにFacebookと比べると50分の1程度の規模ですので、ま だまだ実質は中堅サイト。(データはDAPか ら)
これからどうなるのか?という視点で注目されています。
さてそんな中今回は、一部で議論を呼んでいる「Pinterestに関する1枚のインフォグラフィック」の話題。
そして、このインフォグラフィックの中に込められている
「押さえておかねばならない国ごとのネットユーザ層の違い」
についてです。
海外にも、遠くない将来目を向けたいと思っているマーケターの方にはぜひおすすめです。
長いので2回に分けてお送りします。後編は22日(木)配信予定です。
0.現在Pinterestに向けられている視線
今Pinterestがマーケティング界隈で話題になる時、その文脈は
- 面白い、面白くないという話題
- ビジネスに役立つのか?という話題
ではなく、
「どうやって一気に中堅どころまでのし上がったか?」です。
今回話題にするインフォグラフィックも、その爆発的ローンチのカラクリを明かす、何かヒントになるのでは?という観点でいろいろな場所に拡散したものです。
0.1.このインフォグラフィックが持つ、もう1つのメッセージ
しかし、実際見てみたところ、これはむしろPinterestというわけではなく、
「国ごとのネットユーザ層の違い」という、
普段あまり意識しない部分について示唆を与えてくれるものだ」
と感じました。
そこで、pinterest云々はちょっとおいておいて、そういった観点でご紹介したいと思います。
1.具体的にそのインフォグラフィックは?
Visua.lyというところが作ったもので、mashableが取り上げたことで海外を中心に拡散しました。
▼Pinterest: How Do U.S. and UK Users Compare? [INFOGRAPHIC]
大きい物は、右の画像をクリックするか、上記記事からご覧下さい。
2.どんな内容なのか?
このインフォグラフィックが示しているデータ、それは大きな枠組みとしては
「アメリカとイギリスでは
Pinterestを使っている層がこんなに違う!」
ということでした。
そして特に
「アメリカでは女性がほとんどなのに
イギリスでは男性のほうが多い!なんで?!」
という点が、話題になった最大のポイントです。
2.1インフォグラフィックの内容:具体的には
このインフォグラフィックが示しているデータ、具体的には以下です。
- USは1200万訪問者、UKは20万訪問者
(Pinterestのアクセスの9割はアメリカです) - 年齢層はUSは35〜44歳が最も多いが、UKは25〜34歳
- UKの方が高卒者の割合が高い
- USユーザは平均から見て低所得者〜中間層が多いが、UKは富裕層と低所得者で2極化。特に富裕層 が多い。
- USは女性比率が83%だがUKは44%と男性のほうが多い
- 興味を持たれているTOPICSが、USは「クラフト」「インテリアデザイン」「ファッション」などだが、UKは「ベンチャーキャピタル」「WEB統 計、WEB戦略」「SEOやマーケティング」「コンテンツマネジメント」「PR」などであり、ぜんぜん違う
3.本当に大切なのはUS対UKということではない、それは。
このインフォグラフィックから読み取るべきことは、US対UKという話ではありません。
一言でいえば
「"ネットは世界とつながっている" 。だから、無意識に均質化して考えてしまうけれど、実際は国によってデモグラがぜんぜん違うんだ」
ということだと思います。
実際、このデータにインスパイアされて調査をしてみると、色々面白いことがでてきました。
4.Pinterestが特別なわけではなかった。
どこのサイトでもUSとUKでは似たような差が出るだろう
先に結論をお伝えしますと、
「pinterestに限らず、大半のサイトで似たような傾向が出るだろう」
と感じました。
調査内容ですが、
- Alexaで上位にランキングしているサイトの中で、男女の偏りがあまりなさそうなものを中心に7サイトをピックアップ。
- それぞれについて、女性ユーザの割合と、学歴について比較調査(収入については、貨幣が違うため今回は比較をギブアップ)
- 比較対象として、性別の方では全世界と日本も対象に追加
です。
それでは、ここからはその結論までの流れを詳しく追っていきたいと思います。
まずはデータ元です。
このインフォグラフィックのデータ元はDoubleClickAdPlannerという、広告を出す人向けのツール。
今はGoogleが提供していて、例えばPinterestだとこんな感じででるんですね。
データ元は同じにすべきなので、adplannerのデータをもとにして調べました。
まずは、インフォグラフィックの内容を深堀りして、pinterestのUSユーザとUKユーザの差が、それが「pinterestだから」なのかどうかについて調べました。
4.1.学歴に関するデータ
adplannerの左図の場所で、調査対象地域を切り替えてデータを取りました。
"All regions" の場合を世界平均と考えています。
その結果がこちらです。(→実際の数値データと大きなグラフ)
大学以上、それ以下と分けたのは、学校制度の仕組みがアメリカとイギリスで違うだろうということと、目下のポイントとしてはイギリスで高校卒業以下の割合が多いことであったので、必要十分と判断したためです。
これがグラフとデータです。
特段Pinterestに限らず、殆どの場合大卒以上の割合はUSの方が優っています。
恐らく、イギリスとアメリカの進学に関するさまざまなマクロ要因が関係しているのでしょう。
従って、
pinterestのインフォグラフィックに出ている学歴の違いは、
恐らくほとんどのサイトで同じ結果が出る
と思われます。
4.2.性別のデータ
男女比率についても、同様に調査しました。
グラフとデータです。
今回は、USとUK以外にも、日本と世界全体を比較値として入れています。
それぞれ、各サイトにおいて女性の比率が何%かを示しています。
これを見ると、赤色のUSは全般的に世界全体と比べて女性比率が高いと言えます。
UKは、イケアでのみ高いですが、他は軒並み女性比率がかなり低いです。
ちなみに、水色で表されている日本はもっと低いです。濃いですね。
…
pinterestについては、USユーザが90%を占めており、そのため世界平均も女性の比率が極めて高いものになっています。しかし、それ以外の国では意外と半々です。
従って、
アメリカは全般的に女性ユーザの比率が大きい
ただpinterestはそれを越えて女性ユーザの比率が大きいのは事実
と言えるかと思います。
…
つまり、pinterestは若干飛び抜けていますが、ユーザ全体としてUSとUKが持っている違いが、pinterestのユーザにもそのまま当てはまっているだけ、だと考えて良いのではないかと思います。
言い方を変えると、pinterestだけが特別な存在なわけではないということです。
ここまでのまとめ
と、ここまででインフォグラフィックの内容を検証しながら、USとUKそれぞれのユーザ層の違いを調べていきました。
こうしてみると「お国柄」といったマクロ要因のせいだと言えそうで、ちょっとミスリードしかねないインフォグラフィックなのかな、という感想です。
とは言え、実際このインフォグラフィックを引用して「pinterestって他と違うんだ、興味深い」という感想も少なからず見ます。
pinterestのユーザについてのみ、このような違いがある、と誤解されかねない見せ方になってしまっているのは、どうなのかなと思いました。
続いての調査について
さて次回は、これをもう少し追いかけて
- 他のサイトではどうなのか?
- pinterestは他の国ではどのように見られているのか?
- そして、pinterestは本当に世界で流行るきざしがあるのか?
などをお送りしようと思います。木曜日配信予定ですので、お待ちくださいね。
【後編はこちら!】
Pinterestに関るたった1枚のインフォグラフィックが教えてくれた事(2/2)
合わせて読みたい記事
pinterestの客観的状況について、もっと知りたい方はこちらもぜひご覧下さい。
メールマガジンのご案内
この連載や他の運営ブログの内容にプラスして、ここには書いていない情報をメールマガジンで発行しています。
記事として書いていない情報・オピニオンを配信していますので、ご興味のある方は、
「こちら」
からご登録下さい。
Google+のお誘い
よろしければサークルで一緒に情報交換などさせて下さいね(^_^)(※ちなみにこのウィジェットはここで作れます。)