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バイオリニストは性格悪いの知らないナ?!について

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ドラマ「第二楽章」(NHK総合)では、二人の女流バイオリニストのドラマが展開されていました。
 
音楽に捧げながらも、人生の第二楽章を見つける姿が感動的に描かれています。
 
「バイオリニストは性格悪いの知らないナ…羽田美智子・板谷由夏『愛憎バトル』物足りない 」によると、

・・・・・以下引用・・・・
 
基本的にこの作者はクラシック演奏家のことを分かっていない。確かに育ちがよくて華やかなバイオリニストは美しく見えるが、それは外面だけだ。Vn奏者は大体性格が悪い。そりゃそうだろう、小さい時から顔の横で楽器がキーキー音を出す。振動は脳にいい影響のあるわけがない。筆者の知る限り、大成したVn奏者で性格もいいのは日本人では大谷康子ぐらいだ。或る10代から有名な某Vn弾き女は、演奏中、楽章の合間にくるっと伴奏ピアニストの方を向いて聴衆の悪口を言い、「手抜きでいいよ」とのたもうたのだ。ライバルに嫉妬し蹴落とすことばかり考えて育てられる演奏家が多く、とても高邁な芸術家とは言えない人間が存在するのを知らないナ。
 
・・・・・以上引用・・・・・

と書かれています。
 
私の経験から言うと、性格が悪いというよりは・・・大変真面目で一途な方が多いと思います。
とくにバイオリンやピアノは演奏するのが難しく、幼い頃からの早期教育が必要な上、ある程度のレベルになっても練習を欠かすとすぐに腕前が落ちてしまいます。
そして、ハイレベルになればなるほど、周囲の期待も高まり、聴衆も厳しくなり、失敗が許されない。常に自分を追い込んでコツコツと練習する日々を過ごすことは、単に「パッションがある」というだけでは駄目で、やはり心底真面目な人でなくては到底こなせないでしょう。
 
私の尊敬するあるピアニストは、日本では「大御所」とまで言われるようなお立場ですが、演奏会の前は緊張されますし、演奏は聴いていて素晴らしかったにも関わらず、次の日は、ご自分の理想どおりにいかなかったことを悔いて落ち込まれています。そして、周囲の細かな批評を大変気にされます。もうこれほど偉いのだから、「どこ吹く風」で堂々となさっていればいいのに・・・と皆と話すのですが、そうはいかないようです。
その方は、「年齢が上がって経験豊富になれば余裕が出てくるなんてことはない。さらに怖くなるものです。」とおっしゃっていたのが印象に残っています。
 
知人のバイオリニストは、やはり演奏会の前になると、神経質になり気が立ってしまい、旦那さんに当たってしまうこともあるそうです(椅子を投げたりすることもあるとか・・・)。相手が音楽家なので、そのあたりはわきまえているから良いのですが、普通の生活をされてきた方なら、「もしかして性格が悪い?」と思ってしまうかもしれません。
 
しかし、これもすべて一瞬のやり直しのきかない時間に命を懸ける一途さゆえのことなのだと思えます。
 
音大時代も、周りの音大生は本当に真面目で、私はその中では「育ち」がそれほどでもないので浮いていたように感じます。「永井さんって面白い人ネ。」とよく言われて(笑われて?かな?)いました。
 
クラシックの演奏は楽譜があるということがプレッシャーの大きな要因ではないかと思えます。
全て暗譜で、楽譜の通り一つもミスが許されない。
そして、どんなに上手く演奏しても、同じ曲を弾いた、ツィメルマンがいる、ポリーニがいる、アルゲリッチがいる、リヒテルがいる、ルービンシュタインがいる、ホロビッツがいる・・・・・のをクラシックのファンは知っています。
それは永久に続くのです。
 
やはり天才になれば、一途に尋常ならざる世界に自らを没頭し追い込むという状況になっているということは容易に理解できます。

もちろん、内面に秘めて表に出さない方もたくさんおられます。それはその方のスタイルであり、見た目が静かでも内面は自分を追い込み葛藤されているのだと想像します。完璧に仕上がっていて落ち着いて見えていても、控え室では、緊張で「お腹痛い・・ああ、ダメかもしれない」と言っている場面も何度も見ました。本番の一回に最高のものを出すため自分を高めようとする必死の姿なのです。

それも、すべて、聴衆に心からの感動を届けるための自らを課す試練なのかもしれませんね。

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