気のある人をなんとかしたいと思ったら危険な吊り橋に連れて行くと良い
「この人は運命の人だ!」
そう思った瞬間は誰にでもあるかもしれません。
そういう直感が本当に正しいかどうかの実験について、シーナ・アイエンガー著「選択の科学」にのべられていました。
アイエンガーさんは、NHK教育テレビ「コロンビア白熱教室」でも有名になった、盲目の女性教授です。
本書の中で、吊橋の実験について書かれていました。
「インディ・ジョーンズ」を思わせるような、激しい渓谷の70メートル上にかかかっている揺れる吊橋の途中に美女を配置し、被験者の男性8人に声をかけるという実験です。
比較のために、穏やかな川の上3メートルにかかっている安全な揺れない橋でも同じ実験を行いました。
美女は、「研究のために協力してください」と言って、男性を橋の真中で呼び止め、その場で短いストーリーを考えてもらう。そして、そのあと女性は自分の名前と電話番号を走り書きして手渡す。
そうすると、揺れない橋では8人中一人しか電話がこなかったに対して、揺れる橋の場合は半数から電話があったのだそうです。
なぜそのようになったのか。
以下引用いたします。
・・・・・(以下引用)・・・・・
恐怖と恋は、まったく異質な感情に思われるが、二つの感情は身体に及ぼす効果は、非常によく似ている場合がある。心拍が速くなり、手のひらに発汗し、動悸が激しくなる。一目惚れと転落の恐怖は、実は共通点がとても多いのかもしれない。
吊橋研究の結果を、異例なものとして片付けることはできない。実際私たちは、周りの状況を手がかりにして、自分がどんな感情でいるかを判断することが多いのだ。
・・・・・(以上引用)・・・・・
これは、恋愛だけではなく、スポーツ観戦や、仕事の昇進、衝撃的な出来事など様々な状況においても、同じだと言います。
時間がたてば、幸福度があがる体験も慣れてしまうし、深い悲しみの体験も立ち直る。それらも実は、周囲の状況によってバイアスがかかっている。
そのバイアスを相殺するには「自分が何を予測していたのかを思い出し、現実と照らして誤りを認識し、必要な修正を行う。そうやって自分の行動を分析し、改善するのだ」とあります。
これはなかなか難しいことです。
例えば同じ内容の選択でも、何か物事が成功したり上手くいったりして、涙が出るほど舞い上がりアドレナリンが出ている状態で判断したときの結果と、前途多難なときやご機嫌のよろしくないときに判断したときの結果は、当然違ってくるように感じます。
それを分かっているか、分かっていないか、というのは大きな違いではないでしょうか?
そういったことを分析できるようになると、自分が状況によって一喜一憂したり、他者に振り回されたりることは少なくなるように感じます。
最初のうちは、何かあってもすぐにそうは思えないものです。対応できないものです。そういうときは必ず一呼吸おく。本当にピンチで切羽詰っていても、深呼吸を一つする時間を作る。
そうするとより良い選択ができるようになってくるのではないかと思っています。