声がかすれるまで頑張っても届いていない 声に手応えを感じているときほど通っていない 通る声になる体の中に眠る内臓されたマイクに気づく簡単なトレーニング方法
「声がかすれてしまう」
というのは皆さん共通の悩みのようです。
ボイストレーニングにいらっしゃる受講生の方々もかすれ声に悩んで折られる方が多いですね。
ただ、声がかすれるのはプロでもあることです。
人気ボーカリストの場合、どうしても休みを入れずに公演をこなさなくてはならず、声がかれてしまうこともあると聞きました。
また、ハードな技巧をこらした作品の場合、声の調子が良いときほど危険で、今日は良い感じだと思ってついつい長時間さらってしまう。練習後、気がつくと声がかすれていて「あ~、やっちゃった・・・」となることもあります。歌っているだけでも負担のかかるような難しい作品は、「あともうちょっと歌いたいなあ」と思うほどほどのところでやめておかないといけないのです。
だから、声がかすれるからまったくダメだというわけではありません。過度な無理をすれば、だれでも声がかすれることはあります。
声がかすれるのは、大抵、声帯に無理なストレスがかかりすぎてしまった場合です。
「話しが聞こえない」と怒られることがあり、いつも聞こえているか心配で、無理して大声を出している。仕事がハードで、ついついがなってしまう。または、押さえ込んだ声で我慢して話している。なども声帯へのストレスになります。
これらは、本来「声を調節するだけの場所である声帯」に過度な負担をかけて発声していることが原因です。
よく通る声を出す人は、鼻の後ろあたりにある共鳴を使って、声を増幅させています。鼻の後ろに立体の「円錐」をイメージしてくださると良いと思います。
この状態になっていると、円錐に「響きが回っている」様子を感じるだけで、自分は「大きな声がでているな」という手応えはあまりありません。
だから、声を出しているとき、手応えを求めたくなってしまうし、手応えがあったほうが出している本人は満足するのですが、実は頑張っているほど声は届いていないのです。そして負担がかかっています。だから、本当は手応えを求めてはいけないのですね。
それでは、どうしたら共鳴を発見することができるのか。
今日は、大変簡単なトレーニング方法をご紹介します。
日本語で「鼻濁音」というのがありますね。
「が」は[nga]、「ご」は[ngo]などです。
その鼻濁音を発声するときの舌の状態から発声していきます。
鼻濁音を発声するとき、舌の後ろはどこについていますか?上顎の喉寄りでちょっと奥の方ですね。指でさわると「おえっ」となるところです。その場所を確認してから始めましょう。
1、十分にあごを下げて「お」の口をする。
2、小鼻の両脇に両手の人差し指を軽くあてる。
3、口から息を吸う(息を吸い忘れる人が多いので注意)
4、息を吸ったら、舌の後ろを上顎の奥につける。舌の先は下がっていて下前歯か歯茎あたりにさわっている。
5、そのまま「n~」と発声。指にビーンという軽い振動を感じるように。
ポイント:最初のうちは顔の筋肉を鼻に集めるような感覚が必要。
6、振動を残すように舌の奥を少しずつ下げていき「ん~~~ご~~~」とのばす。
ポイント:「ん」のときに振動は、舌を思い切りガバッと下げるとなくなりやすいので、よく聞いて振動が残っているところで舌をとめること。
7、3~6を5回繰り返す。
もし変な声でも振動がきていれば大丈夫ですので気にせずつづけてください。なれれば人差し指をそえなくても出来るようになります
映画「英国王のスピーチ」でも、共鳴のトレーニングがありました。
共鳴ができるようになると、体の中に内蔵マイクを備えているようなものです。
ぜひやってみてください。
人によっては瞬時に発見する人もいれば、数ヶ月かかる人もいます。私は時間がかかったほうですが、発見できると世界が広がりますよ。