腹式呼吸をしていても「喉止め」している限りは上手くならない これが出来るだけでパワーのある声になる良い複式呼吸法
良い声を出すために必要と言われる「腹式呼吸」。
研修や講演のときに、「皆さん、深呼吸をしましょう」と言うと、会場の9割以上の人が胸式呼吸です。ごくたまに腹式呼吸ができている方がいるので、おたずねすると、趣味で合唱や声楽や演劇など、何かやっていらっしゃる方がほとんどですね。
大抵の方は普段の生活が胸式呼吸になっていて、「思い切り息を吸ってください」と言うと必ずと言っていいほど、思いっきり肩が上がります。
本当は、人は寝ているときは自然と腹式呼吸が出来ているのですが、ほとんどの方が起きて生活しているときは胸式呼吸に切り替えてしまうのですね。
「起きたら胸式呼吸」
これはもう長年積み重ねたクセになっているので、呼吸を腹式にするには、時間がかかります。
そういう場合は最初に、「腹式呼吸は息を吸ったらお腹がふくらみ、息をはくとお腹がへこむ」という基本を覚えてもらいます。
腹式呼吸の基本的なトレーニングでは、おへその下あたりの下腹に手をあてながら、「息を吸って~。はい下腹が前に出ま~す」、「息をはいて~。はい下腹が徐々にへこみま~す」という方法をとります。
腹式呼吸は、息を吸ったら肺がふくらみ、ふくらんだ分内臓が下に押されて下腹が出るという仕組み。自分で意識して下腹を前に出すことにより、より肺がふくらみやすくなるのですね。
実は私、自分自身は、この「腹式呼吸の練習」をしたことがありません。
最初から横隔膜を使うトレーニングを行っています。そのほうが、手っ取り早く近道だったからです。
それでは、私がお勧めするトレーニング方法をお伝えいたします。
★★横隔膜の腹式呼吸トレーニング★★
1、壁に背中をつけて立つ
2、顎を下げて口を開ける。「はあっ」と大きく息を吸う。
そのとき、下腹の真中あたりを押し返すつもりで息を吸う。(もしわからなければ誰かに押してもらうとよい)
☆ポイント:下腹はしっかりと前に出て、さわるとパンと張っている。このとき、下腹を無理に出そうとして壁から背中が離れないように。
3、そのまま息を5秒とめる☆ポイント:このときお腹の押し返しでとめる。これが「横隔膜止め」です
4、下腹はそのまま出来るだけ押し返しを維持しながら「はーっ」と一気に息をはく。
☆ポイント:息をはくとき喉で小さく「あ”っ」という言う音がしたら喉でとめているのでよくありません。「喉止め」しないコツは、お腹の頑張りに集中すること。喉の周辺がリラックスしやすくなります。いくら腹式呼吸をしていても、「喉止め」をしている限り良い発声はできません。喉で音がしないようになるまで練習すること。なれれば横隔膜でとめられるようになってきます。
4、2~3を何回か繰り返す。慣れてくればお腹を押してもらわなくてもできるようになります。息を吸っているときもはいているときも、出来るだけ下腹は「パン」と張った状態を維持するように。
発声しているとき、横隔膜は休む暇はありません。いつも横隔膜だけは「うぬぬぬぬ・・・!」と頑張っている状態です。喉で頑張っている場合はなかなか横隔膜で頑張る感覚がつかめないので、できるだけ横隔膜腹式呼吸のトレーニングでつかんでください。
お腹を出したりへこましたりする腹式呼吸は間違っていません。ただ、発声のときに大きくへこましてしまうと音のパワーが落ちたり、安定しなくなってしまいますので気をつけてください。