なぜ音楽が「縦ノリ」になってしまうのか? 横の音楽で一歩先へ
カラオケや合唱などで、伴奏に合わせようとして、首を縦に振って歌っている場面を良くみかけます。
音楽が「縦ノリ」になってしまっているのですね。
しかも、ほとんどの方は「縦ノリ」です。
縦ノリをやりすぎると、音楽がスムーズに流れなかったり、拍節的になってしまい、フレーズ感を持って聴こえてきません。
もちろん、縦も大事です。
また、プロの演奏でも縦を強調して演奏する場合もあります。
しかしその場合は、目をつぶって聴いていれば、横軸が主体であることは良く分かります。
それではなぜ、縦ノリになってしまうのか。
課題はフレーズ感かな、と思います。
縦ノリは、自分の音が拍子に合っているか、リズムが正しいか、などは良く出来ているのだと思います。横につながっている旋律がどこからどこまでで、どのように表現するか、全体の中でそのフレーズはどのような役割を持つのか、歌であれば、そのフレーズにどのくらいの息を使うか、ということを感じることがフレーズ感です。
理由の一つとしては、拍子やリズムを正しくしようとしたり、音楽に乗ろうと思ったときに、「縦ノリ」になりやすいところがあります。
一生懸命なあまり、拍子に合わせて首や体を振ってしまったりして、音楽を縦に刻んでしまうのですね。せっかく横につながろうとしている旋律を切ってしまいます。
そうすると、聴き手は、音楽に陶酔し、身を任せることがしにくいのですね。
もちろん、体の中に正しい拍子感やリズム感は持っているべきなのですが、それが表面に出てはいけないのですね。
私自身は、この「横に流れる」ということを理解するまで、かなり時間がかかりました。
音楽を始めた頃は、メトロノームでかっちり仕上げることを目標に練習していたのですが、横に流れる音楽を勉強すると、あるところからメトロノームに合わなくなる部分が出てきます。
自然な音楽とはそういうものです。本来はそれで良いのですね。
体の中に正しい拍子感がいつもあって、それに乗りながら旋律は横に流れること。つまり「縦軸と横軸」が両者存在する演奏が出来るようになるとさらに感動的な音楽になるのだと思います。