お尻を引き締めるとなぜ高い声が出るのか? 簡単にできる「インナーマッスルトレーニング」
ボイストレーニングのとき「お尻を引き締めなさい」と言われます。
発声のとき、お尻が緩んでいると良い声は出ません。
特に、高い声を出そうとするときは、「大殿筋」という、お尻の部分をいつもよりギューッと引き締めます。
あるトレーナーの先生(女性です)に、自分との比較のため「さわってごらん」と言われて、触らせていただいたことがあるのですが、本当にガチガチに素晴らしく引き締まっておられました。
声は体が楽器なわけです。
つまるところ、発声は筋肉運動なわけです。
やはり体ができていなければだめだなあ、と思い知らされました。
呼吸のために使うインナーマッスルは今まで「横隔膜」をメインにご案内してきました。
呼吸を安定させ、さらに強い呼吸を生み出す筋肉は全部で4つあります。
1、腹横筋(お腹の横を筒状にまいた部分)
2、多裂筋(背骨の横から上の背骨につながっている部分)
3、横隔膜(腹横筋の上をふさぐような部分、呼吸をコントロールする大事な部分)
4、骨盤底筋群(骨盤の底にあります。肛門の周りにあり、腹横筋などを支えている)
これらの筋肉は、呼吸でしか鍛えられません。
まずはしっかりと腹式呼吸をしてみましょう。
★★呼吸のためのインナーマッスルトレーニング★★
1、膝を立てて仰向けに寝ます
2、手をお腹に当てて、深く息を吸う。自然に下腹を膨らませてください。
3、ゆっくりと息をはく。最後まではき切る。無理にお腹をへこまさないでください。
4、2~3を繰り返す
ポイント:基本の腹式呼吸は息を吸うと自然にお腹がふくらみ、息をはくとお腹がへこみますが、無理にふくらませたりへこませたりしないでください。
それでは次に良い声を出すときのために行う呼吸トレーニング。呼吸法は上記の方法を踏襲しながら立って行います。
★★発声のための呼吸トレーニング★★
1、立った姿勢でお腹に手を当てる(座ってもできます)
2、お尻(大殿筋)を引き締めながら息を吸う
3、さらに肛門周辺をどん底からぎゅーっと引き締めながら最後まで息をはき切る
4、2~3を繰り返す
特にものすごく高い音を出したいときは、この「肛門を引き締める」。骨盤底筋群をしっかりさせる。これが大事です。ここが緩んでいては良い声は出ません。また、引き締めることで、出来るだけたくさんの息をはききることができます。さらにお腹(丹田)に重心をもって来てしっかり「支える」こともできます。
良い声というのは、息がたくさん必要なのです。そしてスペシャルなところほど、息、息、息なのです!そのためにはインナーマッスルを使わなくてはなりません。
実際に発声するとき、「ここぞ」というところ、高い声や盛り上がっているところでは、なかなか「ハイ、今は腹式呼吸をつかってー」「丹田に重心ー」とか、冷静になれないものです。そういうときはもう、反射的に「お尻を引き締める!」。普段から鍛えていれば、高い声のときなどは本当に助けてもらえますよ。
これは、出かけ先で電車を待っているときでも、オフィスで座ってでも出来ます。しかも疲れません。
ぜひやってみてください!