One for all, all for one. 個の創造力を阻止するな
どんな組織でも、チームワークというものが大事にされます。
全員が一つの目標に向かって助け合い、協力し合う、ということは素晴らしいことですね。
ラグビーの世界でよく言われる
「One for all, all for one.」
「ひとりは全体のために、全体は勝利のために」
はチームワークの基本ではないかと考えています。
例えば、オーケストラも音楽という一つの目標に向かって全員が団結してハーモニーを創り上げていきます。
指揮者の役割も大きいのですが、やはり、楽団員一人一人の力がなくては成り立たないものです。
ラグビーでは「勝利」とされていますが、それでは、演奏者たちは最終的に何に向かわなくてはならないのか?
まずは、楽譜というテキストがあり、それを一人一人が読み込むことがとても大事なことです。
もし歌詞があれば、それも何度も読み込む。
そこから、個人の体験や経験を想起し、重ね合わせ、音に昇華していくことです。
アートとは、集団であっても、個人です。
個人のインスピレーションを阻止してはいけません。
いくら個人が頑張っても、ベートーヴェンの人生をそのまま体験できるわけではありません。
個人が楽譜から今まで生きてきた自分の人生をいかに重ね合わせるか。
そして、他のメンバーから刺激を受けて、さらに成長し、より豊かなイマジネーションを導き出すか。
そこを鼓舞し、まとめあげるのが指揮者の役割だと思っています。
こうなると、音楽は単なる過去の作品ではなく、これは新しい創造、イノベーションとなります。
苦難とともに作品を世に出し続けてくれた作曲家も、それを願っているのではないでしょうか。
一つの質問をしたら、全員がほぼ同じような答えを出してくる。
リーダーの一声で精神までが「右向け右」になってしまう。
それは、良い組織とはいえないと思います。
答えは一つではないのです。
人生がそれぞれであるように。
それを考えると、どんな仕事もすべてアートではないでしょうか?
一人一人が成長し、素晴らしい人生を生ききること。
それが組織の目標ではないかと感じています。