テンポにとらわれないのが良い演奏です
2012年12月8日、私が代表・指導を務める合唱団「コール・リバティスト」の練習がありました。
この日はまず最初に、佐藤眞作曲の、混声合唱のための組曲「蔵王」より「おはなし」を歌いました。全体での練習には東混(読み「とうこん」=東京混声合唱団)の秋島先生をお招きしました。
最初の女声アカペラは、真面目に歌いすぎて動きがありませんでした。
秋島先生は「『テンポ』とはどういう意味か分かりますか?『気分』という意味なんですよ」と教えてくださいました。
通常、「テンポで演奏しましょう」と言うと、きっちり拍どおり演奏することを示します。しかし、イタリア語の意味には「天気」や「気分」もあるんですね。
秋島先生は「きっちり拍どおりではなくていいってことですよ。皆さんが、結託して演奏して良い。指揮者というものは演奏にあわせますから。よっぽど遅すぎるとか速すぎるとかでなければ、何も言わないものです。皆さんが『どう演奏するか』ではなく、『どう演奏したいか』なんですよ」
とおっしゃいました。
要は、音楽の流れに逆らわないということです。
本来持っている流れを生かして演奏するわけですね。それには、感性を柔軟にして音楽を皆さんで感じることですね。音符の長さや、拍にとらわれすぎないことです。
そうすればきっと良い音楽になります。
「おはなし」は、独特な「擬音」が出てくる遊び心のある作品です。これらの擬音を印象的に表現したいものですね。
例えば、おじいさんが縄をなう音「トン、トン、トン」。
これは、なるべく「ト」は短くして「ん」に入り、「ん」の[n]を伸ばすことが大事です。「ん」の音にビブラート(音を揺らす)をかけるくらいのほうがいいですね。
そうすると、奥行きのある太鼓のような立体的な響きがします。
「ん」は風邪や花粉症で鼻が詰まっているとできませんから気をつけましょう。
ねずみが出てくるところ「ちょろりちょろちょろ」も面白い言葉です。
これも、ネズミですから、あまり深刻にならずに、お遊びの気持ちを持ちながら歌うと良いですね。
でも、このことばが出てくるところは、ちょっと音が難しくて外しやすいので、どうしても頑張ってしまうのですよね。
音がとれてくると、少し余裕が出て来るのでしょうか。
せっかくのコミカルな場面ですので、ぜひ、お客さんが笑顔になってくださるような演奏がしたいですね。
この日は他に「樹氷林」「早春」、山田耕筰の「からたちの花」。松下耕の「三つの詩篇」より「声をかぎりに」を歌いました。
「樹氷林」もなかなか手ごわいですね。
でも、だいぶ安定してきたように思います。楽しみになってきました。
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